【観察眼】80年消えない「毒」――求められる負の遺産の根絶

CGTN

2026年5月、吉林省敦化市のハルバ嶺の深い森の中で、地中に80年以上埋まっていたマスタードガスの砲弾が廃棄処理作業中に破損して毒ガスが漏れ、日本人作業員2名が負傷した。この事故は改めて、警鐘を鳴らすものとなった。侵略戦争時に旧日本軍が遺棄した化学兵器は、今なおこの地の安全を脅かし続けているのだ。日本の敗戦から81年が経過したが、今なお遺棄化学兵器の脅威にさらされている人々がいる。彼らにとって、この戦争はまだ「終わっていない」のである。

1937年から1945年にかけて、旧日本軍は中国の18の省や地域で2000回以上の化学戦を展開し、軍民合わせて約10万人に上る死傷者を出したとされる。敗戦直前、日本軍は証拠隠滅のため、数十万発の化学弾を地中に埋め、あるいは投棄し、記録もすべて焼却した。その結果、中国の国土には長期にわたる健康被害と環境汚染のリスクが残された。

2026年7月26日、吉林省敦化市ハルバ嶺の旧日本軍遺棄化学兵器処理現場を視察する外交部アジア局の劉勁松局長

現在までに確認されている埋設箇所は、中国の18の省・自治区・直轄市にまたがり、70カ所以上に及ぶ。中でも吉林省のハルバ嶺は世界最大の埋設地点とされ、約40万発の毒ガス弾が埋まっていると推定されている。1989年に発掘された弾体には、「広島」の文字が鮮明に残されていた。これは旧日本軍が中国で化学戦を行った動かぬ証拠である。これらの化学兵器に使われた毒ガスの多くは、広島県の大久野島で製造された。1928年、日本は「ジュネーブ議定書」を無視して同島に秘密の毒ガス工場を建設した。その生産量は戦時中の総生産量の9割を占め、大部分が中国の戦場へと送られた。

この81年間、インフラ工事や河川の清掃、農地の開墾などに伴って、日本軍の遺棄化学兵器が偶発的に露出する事態が繰り返され、負傷や汚染被害が絶えることはなかった。しかし、日本政府は化学戦や遺棄化学兵器がもたらす長期的な被害について、中国国民に対し正式かつ誠実な国家としての謝罪を行ったことはなく、体系的な賠償メカニズムも設けていない。中国の民間被害者による日本での損害賠償請求訴訟では、日本の裁判所は「化学兵器の遺棄」という事実とその違法性を明確に認定したものの、最高裁ではいずれも中国側原告の敗訴に終わっている。

1997年に発効した「化学兵器禁止条約」に基づけば、日本は遺棄国として全責任を負うべき立場にある。しかし、当初2007年までに完了するとされていた処理作業は、これまでに4回も期限が延長された。2025年末時点で、ハルバ嶺で確認された40万発のうち、処理が完了したのは13万発に満たない。

処理作業の遅れは、条約履行に向けた取り組みの不足と日本の責任感の欠如を映し出している。日本の2026年度の防衛予算が過去最高の9兆400億円に達した一方で、遺棄化学兵器の処理予算は極めて乏しい。軍備増強には惜しみなく力を注ぐ一方、戦争の「負の遺産」の清算に消極的である。その背景にある歴史観のあり方を、深く問い直す必要がある。

長年、日本政府は広島や長崎への原爆投下を「世紀の悲劇」として描き出し、自らの「被害者」としてのイメージを強化してきた。毎年、大規模な平和式典を開催する一方で、軍需の要衝であった広島と、その背後に存在した「毒ガスの島・大久野島」の歴史は意図的に忘れ去られている。

今日、日本政府は大久野島を「ウサギの島」として観光地化し、そのにぎわいの陰で、毒ガス製造という加害の歴史を葬り去ろうとしている。同時に、日本の政界では侵略戦争を否定する発言が今なお繰り返されている。さらに、日本政府は中国の対外姿勢や動向を「深刻な懸念事項」であり、「これまでにない最大の戦略的挑戦」だと位置付け、「現実の脅威」として煽り立てている。

こうした歪んだ歴史認識のもと、日本社会では自らを戦争の被害者とみなす見方と、中国を「現実の脅威」とみなす見方という、二つのナラティブが交錯している。こうした動きは一体日本をどこへ導くのか。かつて日本の植民地支配と侵略を受けた隣国として、中国は強い警戒心を持たざるを得ない。

幸いなことに、日本の民間にも正義を貫く人々がいる。学者の広中一成氏やジャーナリストの西里扶甬子氏は、遺棄化学兵器による事故こそ、戦争がまだ終わっていない証しだと指摘している。14歳で毒ガス製造に動員された藤本安馬氏(1926-2022)は、余生を「歴史の証人」として、闇の歴史を告発することに捧げた。彼は何度も中国を訪れて謝罪し、「私が製造した毒ガスは、中国人を殺害するために使われた。私はこの事実を決して忘れない。忘れてしまえば、歴史を証明する機会そのものを失うからだ」と語った。

歴史は改ざんを許さず、負の遺産の放置もまた許されない。中国の大地に散らばる旧日本軍の遺棄化学兵器は、現実の脅威であると同時に、日本の歴史的良心を問う物差しでもある。(CMG日本語部論説員)

07-29 17:05

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