日本の武器輸出解禁で「東アジアの安全保障に深刻な影響」と中国学者

KANKANインタビュー

日本政府は4月21日、閣議と国家安全保障会議(NSC)の9大臣会合で、「防衛装備移転三原則」(以下「三原則」)とその運用指針の改定を決定した。これまで完成品の輸出は、救難、輸送、警戒、監視、掃海の5類型に限られていたが、今回、この制限が撤廃された。日本政府はこれにより、殺傷能力を持つ武器の完成品輸出を認めたことになる。

この動きが日本の戦後平和体制や東アジアの安全保障にどのような影響を与えるかについて、中国社会科学院日本研究所で日本の安全保障政策を研究する孟暁旭研究員に22日、話を聞いた。

2026年4月21日 首相官邸で閣議に出席する高市早苗首相(写真:CFP)

■「5類型」撤廃は「軍事大国化を加速させる動き」

孟研究員は今回の改定について、「日本の戦後平和体制を実質的に大きく踏み越える動きだ」と指摘し、主に四つの点に注目すべきだと述べた。

まず、今回の改定は、戦後の日本が初めて、殺傷能力を持つ武器の完成品輸出を原則認める形に改めた点に大きな意味があるという。孟研究員は、1967年の「武器輸出三原則」や2014年の「防衛装備移転三原則」が維持してきた「非戦闘目的」の一線が崩れ、憲法9条の平和主義の精神が形骸化しかねないとみている。

次に、今回の改定は、「専守防衛」の空洞化にもつながると指摘する。日本は今後、国際的な軍需供給国としての役割を担う方向へ踏み出すことになる。孟研究員は、これによって日本の安全保障政策が、防衛中心の発想から、対外的な軍事的影響力の拡大へと明確にシフトしていく可能性が高いとみている。

三つ目は、防衛産業をめぐる利益構造の強まりだ。改定により、三菱重工や川崎重工などの防衛関連企業は、戦車、戦闘機、ミサイル、軍艦といった殺傷能力を持つ兵器を直接輸出できるようになる。孟研究員は、防衛産業と安全保障政策の結びつきが一段と強まり、関連業界が政策決定に与える影響も拡大する可能性があると指摘する。

四つ目は、国会による監視機能の弱まりである。孟研究員によれば、審査権限は首相、官房長官、外相、防衛相の4者に集中し、国会の関与は事後報告にとどまる。このため、「民主的な監視」は名目だけのものとなり、軍事政策が一部の政治勢力に左右されやすくなる恐れがあるという。

2026年3月17日 陸上自衛隊の健軍駐屯地(熊本)で展示された長射程ミサイル「12式地対艦誘導弾能力向上型」(写真:CFP)

また、孟研究員は「5類型」の撤廃について、「戦後およそ80年続いてきた武器輸出のタブーが破られ、日本は『平和装備』の輸出国から、国際的な軍需市場の正式な担い手へと転身した」と分析する。さらに、「これは日本が戦後の平和国家としてのタガを自ら外し、今後の憲法改正や軍備拡張、海外での軍事行動への道を開く布石となっている」と警鐘を鳴らした。

■東アジアの安全保障にも影響

孟研究員は、日本国内で、今回の改定が高市内閣の「積極的な安保政策」の一環と位置づけられている点にも触れたうえで、この動きは東アジアの安全保障にも深刻な影響を及ぼすと指摘し、三つの懸念を挙げた。

一つ目は、地域の軍備競争の激化である。日本が今後、フィリピン、ベトナム、オーストラリアなどの「同志国」に殺傷兵器を輸出できるようになれば、アジア太平洋地域の軍備増強を直接刺激し、地域の戦略的均衡を損なう可能性が高いという。

二つ目は、地域紛争への関与の可能性だ。孟研究員は、改定後の「三原則」には紛争当事国への武器輸出をめぐる例外条項があり、日本が将来、「援助」の名の下に地域紛争に深く関わる可能性があると指摘する。そうなれば、日本が戦後掲げてきた「国際紛争に直接介入しない」という立場が揺らぎ、局地紛争のリスクも高まりかねないとしている。

三つ目は、日本の国家像そのものの変化である。孟研究員は、今回の改定が、日本が平和国家から「軍事大国」へと性格を変えていく流れを象徴するものだと位置づけ、戦後、東アジアに築かれてきた安全保障秩序を揺るがす可能性があると述べた。

■脅威を強調して武器輸出を正当化する動きに警戒

2026年4月19日 国会議事堂前に3万人を超える市民が集まり、「防衛装備移転三原則」の改定などに反対した(写真:CFP)

日本国内では今回の「5類型」撤廃をめぐり、「日本はすでに平時と有事の中間にあるグレーゾーンに入っている」「競争力ある防衛産業は外交上の切り札になり得る」といった声も出ている。

これについて孟研究員は、「日本は地域の安全保障上の脅威を過度に強調し、武器輸出を防衛産業の発展や外交力の強化と結びつけることで、その推進に向けた大義名分を探っている」と指摘した。そのうえで、「これは第二次世界大戦の教訓に対する反省がなお不十分であることの表れであり、日本を再び過去の過ちに近づける恐れがある。国際社会と地域諸国は、こうした動きへの警戒を怠るべきではない」と語った。(聞き手・構成:王小燕、校正:梅田謙)

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