高市首相の「遥拝」と戦没者追悼式の式辞、有識者が強い危機感と反発

KANKANインタビュー

日本の高市早苗首相は8月15日、靖国神社への直接の参拝こそ見送ったものの、玉串料(祭祀料)を奉納したほか、日本武道館の駐車場から神社に向かって「遥拝」を行った。さらに、同日の全国戦没者追悼式で読み上げた式辞からは、過去の加害歴史への「反省」や「不戦の誓い」が完全に姿を消した。こうした一連の言動と歴史観に対し、日本の有識者からは憤りと強い懸念の声が上がっている。

■「遥拝」も本質は参拝 靖国は軍国主義を再生産する空間

玉串料の奉納や「遥拝」について、山口大学名誉教授の纐纈厚(こうけつ・あつし)氏は「どのような形式であれ、靖国神社の軍国主義的思想を容認することになる」と指摘し、東条英機らA級戦犯が合祀されている靖国神社は、東京裁判の歴史を否定し、侵略戦争を「聖戦」として美化しようとする「装置」であり、戦争責任を隠蔽して再軍備を加速させる思想的震源地だと断じた。

(左)纐纈厚氏(右)西園寺一晃氏

東日本国際大学の西園寺一晃(さいおんじ・かずてる)客員教授も「遥拝は直接参拝に準じる行為だ」と強調し、安倍晋三前首相も検討しながら実施しなかった遥拝について、「A級戦犯を拝礼するのは、明確な歴史認識の表明であり、その本質は参拝と何ら変わらない」と警鐘を鳴らした。

■「繰り返さない」から「繰り返させない」へ 歴史修正主義の公然たる表明

全国戦没者追悼式で献花、黙祷する高市首相(CFP、東京都内の日本武道館で8月15日撮影)

高市首相の式辞を巡っては、文言の微修正が大きな波紋を呼んでいる。安倍前首相が用いた「戦争の惨禍を二度と繰り返さない」は、高市首相の口により「繰り返させない」に変えられた。西園寺氏はこの一字の違いを「歴史修正主義の公然たる表明だ」と厳しく批判した。

西園寺氏は「『繰り返さない』には、日本自身が二度と戦争を起こさないという反省と決意が込められている。しかし『繰り返させない』は、他国に『戦争を起こさせない』という意味に取られるのが一般的だ」と指摘。高市首相が過去の戦争を「自衛戦争」と位置づけている文脈を踏まえれば、この表現は「侵略戦争」と「自衛戦争」、そして「加害者」と「被害者」の立場を完全に逆転させるものだと批判した。

■「感謝」と「謝罪」の欺瞞 言葉一つで「侵略」が「正義」にすり替わる

15日と16日には、自民党幹部や閣僚、与野党の国会議員約90人が靖国神社を参拝した。高市首相は全国戦没者追悼式の式辞で戦没者に「敬意と感謝の誠を捧げる」と述べた。しかし西園寺氏は、この「感謝」という言葉の背後にある歴史観に強い警戒感を示した。

西園寺氏は「冷静に考えれば、この言葉にはペテンがある」との考えを示した。「もし過去の戦争が正義の戦争だったなら、戦死者への『感謝』は当然だろう。しかし、もし誤った戦争だったならば、外国の地で傷つき倒れた兵士たちに対して国家は『謝罪』すべきだ」「『感謝』と『謝罪』には天と地の差がある。言葉一つで『侵略』が『正義』にすり替わってしまう」と述べ、「感謝」の言葉に安易に惑わされないよう訴えた。

■「インド太平洋」の文言 対中包囲戦略を前面に押し出す

式辞から「アジア」の文言が消え、代わりに「インド太平洋の輝く灯台」という表現が盛り込まれた点も問題視された。纐纈氏は「『インド太平洋』は中国への対抗を意識した表現だ」と指摘した。纐纈氏は米国の対中包囲網の一環として、対中対抗戦略を日本の外交と防衛の基軸に据える姿勢を前面に押し出したものであり、「アジアの一員として諸国と共に平和を追求する従来のトーンが消えたことは、極めて大きな問題だ」として強い懸念を示した。

■国内外で抗議の声 有識者が「歴史を銘記し、周辺国との友好を」

政治家の靖国神社参拝に反対する市民のデモ(CFP、東京都内で8月15日撮影)

高市首相の一連の行動や閣僚らの参拝に対し、中国政府の外交部や国防部は相次いで抗議声明を発表した。日本でも各地で反対デモが行われ、多くの研究者や有識者が講演会や映画上映を通じて危機感を訴えた。纐纈氏も16日、東京都内で「拍車かかる戦前回帰への道 侵略の記憶と忘却の闘いのなかで」と題した講演を行い、日本人として歴史を忘れないよう猛省を促した。

西園寺氏は「言葉をどう変えようが、歴史の真実は変えられない」と強調した上で、「日本と日本国民にとって本当に重要なのは、歴史を銘記し、その教訓から学ぶこと。そして中国などの周辺諸国との友好関係を重んじることこそが、日本の根本的な国益につながる」と訴えた。

(取材/記事:王小燕、校正:鈴木)

【関連記事】

防衛白書は「再軍事化に向けた社会総動員」 中国の研究者が警鐘

「国家情報局」発足 中国の専門家「戦前体制への回帰」に警鐘

日本の武器輸出解禁で「東アジアの安全保障に深刻な影響」と中国の学者

◆ ◆

記事へのご意見・ご感想は、nihao2180@cri.com.cnまで。件名に【CRIインタビュー係りまで】と記入してください。お手紙は【郵便番号100040 中国北京市石景山路甲16号 中央広播電視総台亜非中心日語部】宛てにお送りください。スマートフォン用アプリ【KANKAN】の【アカウント一覧】にある「KANKANインタビュー」からも直接投稿できます。ダウンロードは下のQRコードから。

08-16 19:05

更多精彩内容请到 KANKAN 查看