【観察眼】日本映画が中国市場で大人気

CGTN

中国の映画市場では近年、日本映画の成功が著しい。11月末に『映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記』が公開されたことで、2024年に中国本土で公開された日本映画は21本となった。若い顧客層の成長と多様なニーズに伴って、日本映画の中国での人気は急速に高まり、無視できない文化的流れが生まれている。

日本映画の中国市場での成功といえば、“80後(80年代生まれ)”と“90後(90年代生まれ)”の成長に付き添ったIPとして、宮崎駿監督作品や、ドラえもん、名探偵コナンなどが挙げられる。これらのIPは多くの人々にとって、子ども時代の素晴らしい記憶であるとともに、一種の心のよりどころでもある。歳月が過ぎても、これらのIPは色あせることなく、むしろ新しい形へと生まれ変わり続けている。例えば、宮崎駿監督の最新作『君たちはどう生きるか』は、2024年に中国で8億元(約16億円)近くの興行収入を獲得し、日本本土での興行収入を抜いて、本作の世界第1位の公開先となった。

日本映画IPが中国で成功を収めている舞台は映画市場にとどまらない。文化消費のさまざまな分野に浸透し、ライフスタイルにまで溶け込んでいる。町を歩けば、日本映画のIPに関連するグッズはそこかしこで見つかる。アニメ映画の主人公がデザインされたTシャツに、コンビニで販売される関連グッズ、有名ミルクティー店がコラボカップを出した例もある。これらのグッズは、ファンにとってコレクション欲を満たすだけでなく、自身の個性や感情を表現する方法にもなっている。

このほか、日本映画IPは仮想世界でも重要な地位を占めている。ソーシャルメディアでは、日本映画のIPに関する議論やシェアが日々行われている。ゲームの分野でも、日本のアニメ映画が題材のゲームがプレイヤーに愛されている例が多数ある。こうしたバーチャルでの消費シーンは、日本映画IPの影響力をさらに拡大させている。

日本映画IPの中国市場での成功は偶然ではない。その背後には、的確なポジショニングと持続的なイノベーションがある。日本映画の古いIPに心揺さぶられる中国人は多いが、“00後(2000年代生まれ)”や“10後(2010年代生まれ)”といった若者もまた、近年の日本映画の中に自身が好む作品を見つけている。新海誠監督の作品『君の名は。』や『天気の子』、そして『すずめの戸締まり』などは、いずれも美しいビジュアルと感動的なストーリーで若い観客に愛されている。特に『すずめの戸締まり』は8億元(約16億円)を超える興行収入で、2023年の中国映画市場の日本映画興行収入トップとなり、新規IPの強力なアピール力を示した。

日本映画は創造性とストーリー性だけでなく、感情的な共感性を持っている。これら日本映画の中で、私たちは異なる世界観、人生観、価値観を見ることができる。映画を鑑賞しながら、人生の貴重なヒントを得ることもある。例えば、宮崎駿監督は自身の人生における悟りと過去の作品を映画に織り込んで『君たちはどう生きるか』を制作した。彼は映画を通じて、私たちにどんなに困難で残酷な時代にあっても、人間らしく生きなければならないということを伝えようとしている。これは彼の答えであり、人生をかけて実践してきた彼の柱でもある。答えは人それぞれに異なるかもしれないが、視聴者に生命の意味や人生の価値に対する深い思考を呼び起こした。これこそが、日本映画が中国市場で輝きを放ち、中日文化交流の重要な橋渡しとなり、絆となった理由でもあるのだろう。(CMG日本語部論説員)

2024-12-18

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