社会学者の柿崎京一氏 「他者への共感」のない政治に警鐘

CGTN

社会学者で、宇都宮大学と早稲田大学の名誉教授である柿崎京一氏(99歳)は1月28日、CGTN記者の取材に対して、今の国際関係や日本の国内政治においては「他者への想像力や共感」が前提となる「道徳的感情」が「どんどん失われている」と指摘し、憤りと懸念を示しました。

柿崎氏は18世紀の英国の経済学者であるアダム・スミスの説を引用し、「資本主義の経済活動は第三者によって喜ばれ、共感を持たれる時に初めて正当性を得られる。共感なくして自由競争主義だけで成り立たせたものは、決して良い方向に進まない」と指摘し、「今、国際関係や政治に求めていることは勝ち負けではなく、互いに道徳的感情をより豊かにしていくことだ。それがなければ、人類の平和は実現できない」と警鐘を鳴らしました。

柿崎氏は高市早苗首相が23日に解散総選挙に踏み切ったことについて、「もっとやらなければいけないことがいっぱいある。今、選挙をやっている暇はない。特に雪がたくさん降るこの時期の選挙に、雪国の人々は困っている」と批判しました。柿崎氏はその上で、高市首相が高支持率を背景に踏み切った今回の選挙について、「総理大臣が考えているのは勝つか負けるかだけで、他人がどうであるのかあまり考えていない。せめて、自分が負けてもみんなが良くなればいいというような犠牲心があるのならば、まだ救われるが、今ちょっと人気があるから、今やれば勝てるという考えで、世の中が良くなるはずはない」と憤りを示しました。

柿崎氏は一部の政党が掲げている「日本人を優先する」というキャッチコピーについて、「これが良くない。こういう『第一主義だけ』で人を煽(あお)り立てるのは不幸なことだ」と語り、「強い日本を取り戻す」という高市氏の姿勢については、「そんなことは、何も国際社会で言うことはない。お互いに良くなれば良い。自分たちが少し損しても、人類がみんなよくなるなら、それだって良いのではないか」と、人類社会の平和的共存にとっての「共感」の意義を強調しました。

柿崎氏は、高市発言によって冷え込んだままの中日関係について、国交正常化後の1970年代後半によく使われた「飲水思源」という言葉を挙げ、「その意味を改めて噛みしめる必要がある」と強調し、「『飲水思源』とは、井戸の水を飲む時には、井戸を掘った人たちのことを思うという意味だ。今、人類が地球上で暮らし、日中の人々が仲良く付き合い、幸福を分け合うことができるのは、井戸を掘った先人、つまり交流の原点を作ってくれた人たちのおかげだ。先人の努力に深く思いを致せば、争いが簡単に起こるはずはない」と訴えました。

柿崎氏はまた、民をいたわることなどを含む儒教の仁の思想や、さらには日本でいろはかるたにも取り入れられた「負けるが勝ち」という考え方でも、「みんなが幸福に生きることが基本だ」と指摘し、「互いに仲良く共存することを胸に据え、道徳的感情をより豊かにしていくこと」を呼びかけました。

柿崎氏は1926年に秋田県に生まれ、1953年からライフワークとなる岐阜県・白川村の大家族制の調査に携わり、のちに五箇山の合掌造りとともにユネスコ世界文化遺産に登録した白川郷の伝統産業である養蚕業の様子、そして、それを中心とした村人の営みをつぶさに研究してきました。また、中国と韓国の村落での実証的研究に基づいた東アジア村落の基礎構造の研究でも多くの成果を出してきました。(取材・記事:王小燕、校正:鈴木)

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