【観察眼】今年も好発進の中国経済に多国籍企業が示した姿勢とは

CGTN

中国で最近、最も話題になっているものといえば、映画『ナタ2(哪吒之魔童閙海)』だ。中国の神話を題材に作られたこのアニメ映画は1月29日の上映開始以来、中国映画、引いてはアジア映画としても史上初の興行収入100億元(約2060億円)を超えた作品となり、上映各国ごとの興行収入記録を更新し、世界の映画興行収入ランキングでもトップ10入りを果たすなど、記録を塗り替え続けている。また、今月18日には累計興行収入(プレ上映や予約販売を含む)が123億元(約2500億円)を突破し、アニメ映画の世界興行収入の1位に上りつめた。

『ナタ2』にけん引され、中国の春節(旧正月)連休期間(今年は1月28日~2月4日)に上映された新作映画の興行収入は、連休明けの2月5日時点で100億元を超え、観客動員数は累計1億8700万人と、いずれも過去最高となった。映画のみならず、中国の消費全般が活況を呈している。中国国家税務総局の統計によると、春節連休中のモノの消費は前年同期比9.9%増、サービス消費は12.3%増だった。米紙ウォールストリート・ジャーナルも、中国の春節連休中の観光収入と国内旅行者数は共に過去最高を記録し、商品とサービスの消費が明らかに増加したと伝えている。中国文化観光部の統計でも、国内旅行だけで、春節連休中の消費額は前年同期比7%増の6770億元(約14兆円)に達し、旅行者数は5.9%増の5億100万人に上ったことが分かった。

一方、深度求索(ディープシーク)、宇樹科技(ユニツリーロボティクス)に代表される中国のハイテク企業の台頭も目立っている。特にAI企業の深度求索が比較的低いコストで世界トップレベルの大規模モデル「DeepSeek」の開発を実現したため、改めて中国のイノベーションに注目した各国投資家らは、中国の科学技術資産の価値を見直し、中国資産のウェイトを引き上げる動きが見られている。中国本土と香港、米国の株式市場でもAI関連株の見直しが行われ、AI相場の爆発的な上昇が引き起こされた。

深度求索をはじめとする中国のハイテク企業の台頭は、科学技術の進歩だけでなく、中国、さらには世界におけるAIへの投資や、AIの応用・実用化に向けた新たなスタートを切ることとなり、消費を促進し、経済成長をけん引する新たな契機となるだろう。また、AI技術の成果は、伝統産業の生産方式とビジネスモデルを再構築し、製造業、農業、物流などの業界をスマート化するモデルチェンジのソリューションを提供する。それは、生産効率の向上、資源の無駄遣いと環境汚染の低減、持続可能な発展の実現につながると予想されている。

1月の中国の人民元建て融資は前月比で5兆1300億元(約106兆円)増加し、増加幅の伸びは前年同期比2100億元(約4兆3400億円)、また、社会融資規模を見ると、前月比で7兆600億元(約146兆円)増で、増加幅の伸びは前年同期比5833億元(約12兆円)となった。ほかにも、乗用車の生産台数は前年同期比3.3%増、販売台数は0.8%増、うち新エネルギー車の生産と販売台数の伸び幅はいずれも約3割となった。これらのデータは、中国経済が今年も好スタートを切ったことを物語っている。

このほど日本の自動車大手トヨタ傘下の高級車ブランド「レクサス」は新たに投資を行い、上海で電気自動車(EV)工場を建設することを発表した。日本の自動車メーカーとして初めて、中国に単独資本で工場を建設することになる。完全外資所有のEV工場としても、米テスラ社が2019年にEVの生産を開始させた上海工場に続き2番目だ。そのテスラ社は、上海に新たに超大型蓄電池「メガパック」を生産する巨大ファクトリーを建設し、1月に稼働を開始させた。ほかにも、ドイツのフォルクスワーゲン社は、中国のEVメーカーの小鵬汽車(シャオペン)と提携して超高速充電ネットワークを構築することを発表するなど、外資系自動車メーカーの中国での新投資に関するニュースは尽きない。自動車業界以外でも、欧州の航空機メーカーのエアバスは、天津で航空機組立ラインの拡張を始めており、また、ドイツのシーメンス社も、深センに設立した核磁気共鳴装置メーカーの新拠点を着工させている。

中国の経済見通しを世界はどう見ているのか。多国籍企業や投資家らが、「攻め」の姿勢でその答えを出している。(CMG日本語部論説員)

02-21 17:10

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