【観察眼】外交は言葉遊びではない

CGTN

日本の高市早苗首相の台湾問題に関する一連の言動が、中日関係を危険な瀬戸際に追いやっている。11月7日、高市氏は国会で、日本の「存立危機事態」になり得る可能性を理由に、日本が台湾海峡問題に武力介入する可能性を示唆した。続いて、26日の党首討論では、野党側の質問に対し、「具体的な事例を挙げて聞かれたので、その範囲で誠実に答えた」とやり過ごそうとした。その上、中国からすれば無効である「サンフランシスコ講和条約」を引き合いに出して、曖昧な表現でごまかそうとした。

2025年11月26日、党首討論で回答する高市首相(写真:CFP)

こうした言葉遊びの詭弁で本質を覆い隠そうとする行為は、歴史的事実と国際法に背くだけでなく、日本の右翼勢力による戦前の軍国主義の過ちを繰り返そうとする危険な野望をあらわにしている。

東日本国際大学の西園寺一晃客員教授は「観察眼」の取材に対して、高市首相の論理には驚くほどの既視感があるとして、「高市発言は、すなわち『台湾有事は日本有事』であり、台湾を『日本の生命線』と言っていることと同じだ。かつての軍国主義の時代、日本の軍部は『満蒙は日本の生命線だ』と言い、武力で『満蒙』(中国の東北3省と内蒙古の一部)を占領し、傀儡(かいらい)国家の『満州国』を建てた。その愚行を再び繰り返すのかということだ」と指摘した。

高市首相はその後、26日の党首討論で野党から再び関連質問を受けた際に、「サンフランシスコ講和条約」を引き合いに、「わが国は全ての権利を放棄しており、台湾の法的地位を認定する立場にない」と主張した。中国側からすれば、その回答は「中日共同声明」の明確な約束を意図的に回避し、代わりに「サンフランシスコ講和条約」を引用した点で、実に不可思議なものだ。というのは、日本では国際社会への復帰を実現したと見なされている「サンフランシスコ講和条約」は、中国やロシアなどの第二次世界大戦の重要な当事国が排除された状況で、日本との単独講和として発表された文書だからだ。この条約は、1942年に中米英ソなど26カ国が署名した「連合国共同宣言」における敵国との単独講和の禁止の定めや「国連憲章」および国際法の基本原則に違反しているため、中国からすれば、台湾の主権帰属など、条約を締結しなかった中国に関するいかなる領土や主権権利の扱いについても法の効力はなく無効だ。

以上の歴史的経緯からすれば、高市氏がいう「誠実に答えた」という言葉は、自身の挑発的言動に対する言い訳に過ぎないことが明白だ。

一方で、発言だけでなく実際の行動も見る必要がある。高市政権は防衛費を2年前倒しでGDP比2%に引き上げ、安保3文書(国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画)の前倒しでの改正、「非核三原則」見直しの議論、南西諸島への攻撃的兵器配備に至るまでを進めている。一連の動きは、その台湾関連発言が「一時的な失言」ではなく、軍拡を推進する体系的な布石であることを示している。

外交は詭弁で切り抜けるものでもなければ、曖昧な表現で責任を逃れるものでもない。日本は台湾問題について「立場は変わっていない」という言葉でごまかし続けようとしても、その一連の行動から本性は隠せるものではないことが分かる。

高市首相の発言撤回を求めて首相官邸付近に集まった抗議者

一方で、注目すべきは高市首相の言動は日本国内でも強い反発を招いていることだ。11月21日夜には「戦争反対」「高市首相は発言を撤回」を求めて、市民約1700人が首相官邸前に集結した。鳩山由紀夫元首相は「論語」の「過ちては改むるに憚(はばか)ること勿(なか)れ」「過ちて改めざる、是(これ)を過ちと謂(い)う」を引用して、「急ぎ改める」よう求めた。

鳩山由紀夫氏のXでの投稿

日本中国友好協会(本部・東京都台東区浅草橋)の井上久士会長は、高市発言について「日本を戦争に引きずり込む危険な発言」と警鐘を鳴らした。田中均元外務省政務担当外務審議官も、高市首相の台湾有事発言は「外交上何のプラスもない」「百害あって一利なし」と批判した。これらの有識者の声は、日本国民の平和への崇高な願いを示すとともに、高市氏の「国益のため」といううそを暴いた。

田中均氏のXでの投稿

中日関係は正念場を迎えている。高市早苗首相がなおも頑迷さを断ち切れず、言葉遊びで挑発を覆い隠し、歴史修正主義の越えることのできないレッドラインに触れ続けるならば、日本を誤った道に沿ってさらに進ませるだけだ。

外交の本質は誠実さにあり、国際秩序の根幹はルールにある。日本は第二次世界大戦の敗戦国として、平和憲法を順守し、歴史の教訓をくみ取るべきだ。中国の台湾問題に関する立場は揺るぎなく明確だ。台湾は中国の分割できない領土の一部であり、いかなる外部勢力の干渉も中国の内政に対する粗野な侵犯だ。

日本は、今後も曖昧な表現でごまかし続けるならば、中国の信頼を得られないばかりか、国際社会における信頼も失っていくことになる。日本は台湾に関する誤った発言を直ちに撤回し、一つの中国の原則と中日間の四つの政治文書で確定された道に立ち戻り、実際の行動で二国間の相互信頼を修復することでのみ、中日関係が長期にわたって悪化する行き詰まりに陥ることを回避できる。(CMG日本語論説員)

11-29 13:51

更多精彩内容请到 KANKAN 查看