


第17回世界経済フォーラム(WEF)新リーダー年次総会(夏季ダボス会議)が、6月23日から25日にかけて中国・大連で開催される。今大会は「イノベーションの大規模化」をテーマに、90以上の国と地域から1700人以上のゲストが参加する見込みだ。
大連国際会議センター 第17回夏季ダボス会議の開催地(写真:CFP)
夏季ダボス会議は、冬季ダボス会議と共に「世界経済のバロメーター」と見なされており、2007年以降、中国の大連と天津で交互に開催されている。歴史ある多国籍企業や各国の政府要人が集まり、マクロな分析に重きを置く冬季ダボス会議とは異なり、夏の大会は主に新興エコノミー、ユニコーン企業、専門特化型の革新的企業、スタートアップを対象としている。現在、世界経済の成長見通しは数十年ぶりの低水準にあり、一国主義や保護貿易主義が台頭し、世界経済の「断片化」が進んでいる。国際通貨基金(IMF)は既に、2026年の世界経済の成長率見通しを3.1%に下方修正した。貿易摩擦や関税戦争の激化に直面する中、先端技術を概念段階から大規模な経済成長の原動力へと転換できるかどうかが、局面打開の鍵となっている。
WEFの試算によると、人工知能(AI)を適切に活用すれば、今後10年間で世界の生産性を約10%押し上げる可能性がある。これが、今大会がAI、新エネルギー、バイオ医薬品、量子テクノロジーなどの最先端分野に焦点を当て、「イノベーションの大規模化」をテーマに掲げた時代背景でもある。
折しも夏季ダボス会議の開幕1週間前、中国政府は『より公正で合理的なグローバルガバナンス体制の構築:中国の理念、提案、行動』と題した白書を発表した。「イノベーションの大規模化」が現在の世界経済の難局を打開するための処方箋だとすれば、「協議・協働・共有(共に話し合い、共に建設し、共に享受する)」という中国のグローバルガバナンスの理念を体系的に整理・説明している白書は、世界の持続可能な発展の基盤を固めるための根本的な対策と言える。世界経済の減速、地政学的な駆け引きの激化、ガバナンス体制への挑戦といった現状において、中国は「イノベーションの大規模化」と「協議・協働・共有のグローバルガバナンス」を両輪として、世界の持続可能な発展に向けた独自の解決策を積極的に模索している。
2026年6月17日 白書発表の記者会見(写真:CFP)
夏季ダボス会議の中国での開催の軌跡と白書の理念を照らし合わせてみると、両者の間に本質的な共鳴関係があることが分かる。
まずは、両者がいずれも「多国間主義」と「開かれた協力」が不可欠だと強調していることだ。夏季ダボス会議自体が多国間対話の生きた実践であり、白書は制度面から「国際的な問題は皆で共に話し合って解決する」ことを主張している。世界経済の成長に対する最大の貢献者である中国(アジアが世界の成長の60%を担う中で、中国はその半分を占める)は、「デカップリング(切り離し)やサプライチェーンの分断」に実際の行動で抵抗している。新エネルギー車(NEV)を例にとると、「一帯一路」の枠組みの下、中国の自動車メーカーはタイやブラジルに生産拠点を設立し、現地の自動車産業チェーンのNEVへの転換と高度化を推進しているだけでなく、現地に数万人規模の雇用を創出し、現地従業員のスキル向上や人材育成にも貢献している。
次に、両者とも「発展」という核心的な命題に焦点を当てていることだ。2026年は中国の「第15次五カ年計画」の初年度に当たる。夏季ダボス会議の会期中、中国は「第15次五カ年計画」を初めて世界に向かって体系的に説明するとともに、「一帯一路の共同建設」や「ベンチャー投資」などの分科会も開催される。これは、白書が掲げている「開かれた協力と共同発展の促進」がグローバルガバナンスを推進するための核心的貢献であるという主張と完全に一致する。加えて、発展は単なる理念にとどまらず、「大規模なの実現」が求められる。例えば、アフリカや東南アジアでは、中国は製品の輸出にとどまらず、現地技術者の育成を目的とする「魯班工坊」などの設立を通じて技術や職業教育を輸出し、現地の自主的なイノベーション能力と自立した発展能力の向上を支援している。
三つ目は、両者とも「イノベーション」の普遍的な価値を重視していることだ。夏季ダボス会議は、個々の技術的ブレークスルーを産業上の優位性へと転換することを目指しており、白書では「AIガバナンスは、セキュリティーと倫理的な最低限の基準を維持しつつ、開放性と共有、そしてAIへの公平なアクセスを順守すべきであることを明確に打ち出し、イノベーションが南北格差を拡大する道具になってはならないと強調している。AIの農業分野での応用を例にとると、アフリカでは「通義千問(Qwen)」や「DeepSeek」など、中国のIT企業が開発したオープンソースの大規模言語モデルが、低コストで運用でき、多言語にも対応しているため、現地の農業のデジタル化を技術面で下支えしている。いかなる政治的条件も付さないこうした技術支援は、「AIへの公平なアクセス」と「人間中心」という新たなグローバルガバナンスの理念を見事に体現していると言える。
「宇宙に地球は一つしかなく、人類は一つの故郷を共有している。各国はそれぞれが190余りの小舟に分かれて乗っているのではなく、運命を共にする一艘の大きな船に乗っている」――
白書が示しているこの象徴的な比喩は、「協議・協働・共有」の理念の下、発展の配当を各方面と分かち合い、苦難を共にする中国のありのままの姿であると同時に、今大会が中国・大連から世界に向けて発する真摯(しんし)な呼びかけでもある。(CMG日本語論説員)
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