


このほど日本の衆議院は「国家情報局」関連法案を可決した。これは、日本政府の情報収集と分析の司令塔となる機関であり、戦後初めて、首相に権力が高度に集中した国家レベルの情報システムが構築されることを意味する。単なる行政機関の再編にとどまらず、日本の政治の「ブラックボックス化」の加速を象徴するものとみられる。第二次世界大戦期に悪名を馳せた「特高」の亡霊が、現代的な情報機関という衣をまとい、ひそかに復活しつつあるのだ。

法案によれば、「国家情報局」は「国家情報会議」の執行機関として、首相に直接報告を行い、安全保障やテロ対策、さらには「偽情報」対策までをも統括する。これまで外務省、防衛省、警察庁に分散していた情報の集約・分析機能は、国会の監督を受けず、首相に直接従う権力中枢として完全に統合される。これに対し、日本のメディアやネット上では、「特高」の復活ではないかという懸念の声が高まっている。
「特高(特別高等警察)」は、国内の社会運動の弾圧および思想統制を目的として、日本軍国主義政府が1911年に設置した特別高等課がその始まりだ。戦前から戦中を通じ、秘密警察「特高」は、日本国内で苛烈な取り締まりを行い、軍国主義政策への「一致した支持」を社会に強制した。その一例が、1928年の「三・一五事件」だ。日本政府は「治安維持法」違反を理由に、全国の左翼知識人や労働組合の指導者など約1600人を逮捕し、残忍な拷問による取り調べを行った。その後の軍国主義の拡張過程でも、「特高」はファシズム体制を維持・拡大する暴力装置として機能した。中国の「九一八事変(柳条湖事件)」への関与、抗日組織の破壊と親日勢力の育成、恣意的な逮捕・拷問に至るまで、「特高」の手は血にまみれていった。
1945年の敗戦後、「特高」などの情報機関は強制的に解体されたが、国際情勢や地政学的要因の影響を受けながら、日本の情報システムは徐々に再建されていった。内閣情報調査室から外務省、防衛省、警察庁など多くの政府機関、さらにはシンクタンク、企業、研究機関に至るまで、「特高」の影は常に見え隠れしている。今回、高市政権が踏み出した一歩は、分散していた情報機能を再び首相の手に集約する試みにほかならない。
新設される国家情報局は海外の情報収集だけでなく、日本国内の社会動向の監視にも重点を置く。政府はこの新機関に専門部署を設けて、ソーシャルメディア上の「偽情報」を監視し、外国勢力による選挙介入や世論操作を阻止する計画だ。しかしこれは、日本国民の頭上にぶら下がる「ダモクレスの剣」(常に差し迫った危険がある不安定な状態)となる可能性が高い。想像してみよう。沖縄の住民がネット上で米軍基地の拡張に抗議したとき、あるいは日本の学者がSNSに政府の憲法改正を疑問視する投稿をしたとき、彼らは国家情報局によって「外国の影響を受けている」「偽情報を拡散する」人物としてマークされる恐れはないのか。何が「偽情報」であるかを誰が判断し、「要注意人物」を誰が決めるのか?ルールの曖昧さは、首相に無制限の権力を与えることにつながる。政府の意思決定が依拠する情報源や分析過程も、完全に「ブラックボックス」の中に置かれることとなる。
高市政権が情報監視を強化し、異論の封じ込めを進める一方、国民もまた、選挙投票を通じて与党に意思を表明している。3月の石川県知事選と4月の東京都練馬区長選では、自民党候補が落選し、さらに埼玉県久喜市、千葉県東金市、愛知県あま市など7つの市長選でも相次いで敗北した。こうした民意の転向は、現政権への失望を示している。高市政権は発足後、民生問題の解決をなおざりにして、憲法改正・軍備拡大、武器輸出解禁などの「再軍事化」政策を加速させてきた。そして、今回の「国家情報局」設置法案の可決は、政府に対する国民の信頼をさらに損なうものとなった。
しかし、高市政権はそうした声に耳を傾ける気はないようだ。「国家情報局」設置法案に続き、「スパイ防止法」の制定を打ち出し、情報権限のさらなる拡大を目指している。同時に、日本の自衛隊も情報機能の強化を推進している。3月下旬、海上自衛隊には「情報作戦集団」、陸上自衛隊には「情報作戦隊」がそれぞれ新設され、これまで各部隊に分散していた情報戦対応機能の集約・一元化が図られた。国内情報の権限集中から自衛隊の情報戦能力の強化へ、そして、国内の政治監視から対外的な情報活動の展開へ、完全な「戦前型情報体制」が形成されつつある。
民意を無視し、制御不能な「情報の怪物」を作り出し、国の「右傾化」を強引に推進する日本。その姿はかつて自らを滅ぼした「戦前体制」まで、あと最後の一歩まで来ているように見える。(CMG日本語部論説員)
更多精彩内容请到 KANKAN 查看
