【観察眼】「レアアース安心論」は本当に安心なのか?

CGTN

中国がレアアースを含む軍民両用(デュアルユース)物資に対する日本向けの輸出管理を厳格化して以降、日本のメディアやSNSでは、「レアアース安心論」とも呼ぶべき楽観的な見方が目立つようになった。それは、「日本にはもう対策がある」「大きなリスクはない」「過度に心配する必要はない」といった主張だ。

この「安心論」の根拠として挙げられるのは、主に二つの点である。一つは、南鳥島周辺海域で高純度のレアアース泥が確認されていること。もう一つは、日本はすでにオーストラリアなどを中心に調達先の多元化を進めており、企業も「一定の在庫」を確保しているという点である。いずれも一見、もっともらしく聞こえるが、その根拠を精査すると、決定的に重要な視点が意図的にぼかされていることに気づく。それは「時間」という現実である。

南鳥島のレアアース開発は、現時点ではまだ実用化には程遠い段階にある。日本の海洋研究開発機構(JAMSTEC)が2026年前後までの実施を予定しているのは、水深約6000メートルという極限環境で、採取装置を安定的に運用し、レアアース泥を確実に回収できるか確認する「技術検証」にすぎない。仮にこの検証が順調に進んだとしても、「試験的な採取」に入れるのは早くて2027年だ。さらに、日本政府が示す目標も、「2028年度以降に商業化の可能性を探る」というレベルにとどまっている。つまり、南鳥島のレアアースが安定的に採取され、精製・加工を経て、日本の製造業で本格的に使われるまでに、少なくとも数年以上の不確実な空白期間が存在する。これは単なる推測ではなく、日本側の公式情報や国際報道が一貫して示している現実である。

さらに、日本国内であまり触れられていない重要な論点がある。レアアース問題の真のボトルネックは、「資源の有無」ではなく、「加工能力の偏在」にあるという点だ。国際エネルギー機関(IEA)などによれば、中国はレアアースの採掘シェアこそ世界の6~7割程度だが、分離・精製・冶金、そして高性能磁石の製造といった後工程においては、世界の85~90%以上を握っている。この構造は、たとえ原料がオーストラリアから調達できたとしても、日本国内に精製・加工のインフラが整っていなければ、EVや家電、スマートフォンに利用可能な「材料」にはなり得ないことを意味する。この構造は、短期間で容易に組み替えられるものではない。

以上を踏まえれば、議論するべき問題は「日本にレアアースがあるか」ではなく、「重要資源をめぐる問題において、なぜ日本は自らを繰り返し危うい立場に追い込むのか」という点にあることがわかる。近年、日本の一部政治家は、台湾問題などをめぐり、経済や国民生活への影響を度外視した強硬な発言を繰り返してきた。その象徴が高市早苗氏の発言である。国内向けには、威勢のいい言葉が支持を集めることもあるだろう。しかし、サプライチェーンの現実は、演説やスローガンによって変わるものではない。むしろ、そうした発言が積み重なるほど、日本社会全体が背負うリスクは静かに、しかし確実に増幅していく。

今回の摩擦は、一過性のものとして「これで終わり」となるとは限らない。国際経済の歴史は、政治的対立が長期化する場合、調整は一度きりでは終わらないことを示している。はっきりと「制裁」とは言わずとも、コスト、投資環境、価格といった形で、その影響は徐々に、しかし確実に積み重なっていく。そう考えると、いま日本社会で広がる「レアアース安心論」は、冷静な分析ではなく、むしろ不安から目を背けるための感情的な自己暗示に見えてくる。

レアアースは、あくまで一例にすぎない。もし国民がこの「安心論」に酔い続け、強硬姿勢をあおる政治家が高い支持を保ち続けるならば、本当の痛みが顕在化したときに後悔しても、もはや取り返しがつかない事態となっているかもしれない。果たして、そのような未来にならないと言い切れるだろうか。(CMG日本語部論説員)

01-16 14:36

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