【観察眼】悪事を見かけたら声を上げよ

KANKAN

日本人にもなじみの中国古典の名著『水滸伝』は1990年代にドラマ化されて中国の人々に愛され、その主題歌はよく知られ、歌詞の中の「路見不平一声吼、該出手時就出手(悪事を見かけたら声を上げよ、手を出すべき時は出せ)」は中国人の深い共感を呼び起こした。中国では、自らの身を顧みず、身を挺して他人を救助する行為を表彰するために、政府は特に「見義勇為(正義のため勇敢に行動する)」な市民という称号を設け、このような善良で勇敢な行為を奨励している。

「見義勇為」は中国語の熟語の一つで、2000年以上前の中国の思想家孔子とその弟子の論著『論語・為政』に由来しており、正義を守るために身を挺して勇敢に行動するという意味だ。孔子は一貫して「勇」という品格を提唱し、君子に対し「人の美を成す(人の善事に助力する)」、「仁に当たりては師にも譲らず(自分のなすべきことを積極的に行い、誰にも譲らない)」ことを要求し、自ら義憤に燃えて難に赴く決心と行動で、仁徳を発揚することを要求してきた。これは人文主義の主張であり、英雄主義の精神でもある。孔子は、こうすることが正しいと知りながら、それを実行しないのは、勇気のない臆病者だとし、こうした人は非難と軽蔑を受けなければならないと考える。孔子の思想が中国人にどれだけの影響力をもつかは周知の通りである。中国人が重視する正義のため勇敢に行動するという精神には数千年の歴史があり、すべての中国人の心に深く刻み込まれているのである。

中国で生活していると、「見義勇為」にまつわるいろいろな話を聞くことができる。成都市民の焦大銀さんは流れの急な川に飛び込み、沈みかけた乗用車から意識不明の運転手を救い出した。広東省恵州市の黄善華医師は帰宅途中、事故で意識不明になったけが人を緊急救助した。大連市の大学3年生、郭旭さんとその家族は、遼河の急流から2人の子供とその2人の保護者を救った。このような例は枚挙にいとまがないが、これらの例はごく一部に過ぎない。

このような行動を表彰するために、各地方の政府はこうした人々の行動を積極的に広報し、物質的な奨励と政策上の優遇を与えている。例えば、北京市は、見義勇為の行動を行った市民に対し統一の奨励基準を設けており、前年度の都市住民1人当たり可処分所得に基づいて、それを上回る額の奨励金を一括支給することになっている。江西省吉安市では、社会的矯正の対象者である幸なにがしが、深い水に落ちた高齢者を勇敢に救助したことから、法に基づいて懲役期間が3カ月減刑された。このような社会的雰囲気の中で、困っている他人を見て、身を挺して行動することができる市民がますます増えてきている。

だが、こうした行動にはしばしば大きな危険が伴い、救助者自身が怪我をしたり命を失ったりする可能性もある。浙江省杭州の出前配達員である彭清林さんは23年6月13日に、自殺を図って川に飛び込んだ女性を救うため、高さ10メートル余りの杭州西興大橋から川に飛び込んだ。女性が救助されて岸に上げられた後、彭さんは静かに現場を離れ、配達に向かった。10メートル以上の高さだったから、橋の欄干を乗り越えて飛び降りようとしたときにはためらいもあったが、人を救いたいという思いが恐怖に打ち勝ったという彭さん。彭さんが飛び降りる姿をネットユーザーが撮影してネット上に投稿した後、多くの人が「かっこいい」と心を打たれ、結婚するならこのような男性を選びたいとする女性も少なくない。

彭さんは幸運にも、10メートル以上の橋から飛び降りて人を救うことに成功した。後に胸椎圧迫性骨折と診断されたが、入院治療を経て順調に回復した。だが、他人の命を救うために自らの命を犠牲にした人もいる。先月、スクールバスのガイド係の胡友平氏は、子どもやその保護者を守るために、凶悪な容疑者を恐れず、必死に彼に抱きつき、その手を放さなかった。彼女の勇敢な行動は、中日両国の多くの人を感動させた。彼女の行動は職務を果たすためだとか、彼女は子どもや保護者らと日頃から良い関係を築いていたからだとか言う人がいるが、彼女の心に深く刻み込まれた、中国の伝統的な「見義勇為」の精神こそ、彼女が勇敢な行動をとった真の理由ではないか。

「路見不平一声吼、該出手時就出手」――こうした文化の中で育ってきた中国の人々だからこそ、胡友平氏のような人が現れたのは不思議なことではない。危険に陥って困っている人があれば、それを助けるために、より多くの胡氏のような中国の市民が身を挺して行動するだろう。(CRI評論員)

07-06 15:00

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