


北京で6月22日に開幕した第4回中国国際サプライチェーン促進博覧会(以下、サプライチェーン博)には、日本を含む85の国と地域が参加しています。
第1回から日本企業の出展を取りまとめてきた日本貿易振興機構(JETRO)は、過去最多となる25社を率いて参加しました。出展ブースの面積も過去最大の約100平方メートルに拡大しています。
「ヘルスライブ(健康生活)」に特化した展示エリアでは、美容液、介護食、医療用サポーター、着圧ソックス、安眠グッズなど、デザイン性と機能性を兼ね備えた日本発の商品が注目を集めました。

JETRO北京代表処の小野寺修首席代表(兼北東アジア地域総代表)(写真上)は、中国でも日本と同じように高齢化が進み、生活の質(QOL)を重視する人が増えていることが、今回の出展分野の選定の背景にあると説明しました。そのうえで、「日本で開発した技術をもって中国の市場、消費者、企業とつながり、新しい価値を創造したい」と期待を示しました。
■日本発の「介護食」が中国市場に本格参入

今回の出展企業の一つが、大手食品メーカーのUmios(ウミオス)です。同社は今年3月、マルハニチロから社名を変更しました。
同社は約20年前から介護食事業に取り組んできました。これまでは、山東省の協力企業を通じて日本向け製品を生産してきましたが、中国で高齢化が進み、高品質な食品への需要も高まる中、今年から中国国内向けの生産と販売を本格的に始めました。
展示したのは、少ない量でもエネルギーとタンパク質を補いやすい介護食です。例えば、かむ力が弱くなった高齢者でも食べやすいよう、舌で潰せるほど柔らかく仕上げたムース状の弁当などを紹介しています。
介護食は、中国ではまだ広く知られた分野とは言えません。同社はまず、Umiosというブランドと、「少量で高エネルギー・高タンパク質」というコンセプトを知ってもらうことから市場を開拓していきたいとしています。
■湿布剤の需要拡大を、日本の製造設備が支える

健康志向の高まりを背景に、中国では湿布など、皮膚に貼って使う医薬品や健康用品の市場も変化しています。特に、粘着性の高い「テープ剤」ではなく、不織布に水分を含んだ薬剤を塗った「パップ剤」への需要が爆発的に伸びているといいます。
こうした製品の自動化製造設備を手がけるのが、大阪の池田機械産業株式会社(IKS)です。同社は会場で、1分間に600枚、1日では30万枚の湿布剤を製造できる設備を紹介しています。
同社は2022年に中国の大手製薬企業に初めて設備を納入しました。現在は取引先が6社に広がっています。昨年秋の中国国際輸入博覧会に続く今回の出展を通じ、中国の製薬会社とのつながりをさらに広げたいと期待を寄せいています。
中国で広がる健康関連市場を、日本の設備技術が裏側から支える形です。
■中国で生産し、世界へ届ける福祉用具メーカー

神戸に本拠を置く車椅子メーカー、カワムラサイクルも、中国市場に合わせた製品を展示しています。
同社は福建省に工場を持ち、2001年から中国での生産を続けています。現在、日本で販売している車椅子の約9割を中国で製造しています。
展示品には、入浴時に使う車椅子や、坂道で転倒しないよう工夫された歩行器などが並びました。高齢者本人だけでなく、介護する家族やスタッフにとっても使いやすいよう、細部まで配慮された設計が好評です。
中国では、長期介護保険制度の導入に伴い、福祉用具のレンタルサービスも始まっています。こうした変化を見据え、同社はロボットを導入するなど、生産ラインの自動化も進めています。
製品は中国の大手ECサイトでも販売されており、中国国内での販売拡大と工場の生産力向上を目指しています。中国で作られた車椅子は、日本だけでなく、東南アジア、韓国などにも輸出されています。
中国を生産拠点としながら、世界へと製品を届けるビジネスが形になっています。
■安全な住まいづくりで、中国市場との接点を広げる

床材や壁紙、住宅建材を手がける東リ株式会社(TOLI)も、今回の出展企業に名を連ねました。1919年に兵庫県伊丹市に創業した、100年以上の歴史を持つ企業です。
会場では、浴室用の防滑性シート、壁紙、カーテンなどを展示しました。
浴室は、高齢者にとって転倒などが起こりやすい場所の一つです。同社は、滑りにくさ、抗菌性、乾きやすさといった機能を通じて、より安全で快適な住環境づくりを提案しています。また、冬場の入浴時に起こりやすい、温度差によるヒートショック(血圧の急変動)への対策も含め、高齢者が安心して暮らせる住まいへの関心が高まる中国市場に向け、技術力をアピールしています。
同社の担当者は、「国際的な博覧会を通じて自社製品をより多くの人に知ってもらいたい。中国での販売を担うパートナー企業との出会いにも期待している」と語りました。
■つなぐことで価値を創出、中日のサプライチェーン協力が新たな段階へ

今回のサプライチェーン博は、「つなぎ、共に未来をつくる」をテーマに掲げています。
小野寺首席代表は、この理念に共感を示しながら、「日中のサプライチェーン協力は転換期にある」と指摘し、次のように強調しました。
「かつての『日本が部品や設備を提供し、中国が組み立てる』という垂直貿易から、現在は、同じ分野で製品をつくり、互いに供給し合う水平貿易へと移行しています。単に商品を販売するだけでなく、中国のサプライチェーンの中にしっかりと組み込まれ、貢献していくことが日本企業に求められています。今回の出展は、まさにその決意と姿勢を体現するものです」
(取材・記事:王小燕、陳木月、校正:梅田謙)
【関連記事】
更多精彩内容请到 KANKAN 查看
