最近、中国のメディアで最も頻繁に登場している単語に「ラブブ(LABUBU)」と「ポップマート(POP MART)」がある。海外では、韓国の4人組ガールズグループBLACKPINKのリサ、米国を拠点に活動する歌手のリアーナ、シンガーソングライターのデュア・リパ、元サッカー選手のベッカムなどの国際的なスターがSNSに自分のラブブの写真を投稿した。商品が人気を博し、企業の業績が急上昇し、それに伴って株価も跳ね上がり、中国企業・ポップマート傘下のラブブのアートトイは世界の消費者に愛用され、かつてない輝かしい時を迎えている。
ラブブは中国香港のデザイナーが考案した、耳が立ち、9本のギザギザの歯を持つ、ブサかわいい表情をした森の妖精だ。ラブブの見た目は「クール」「独立」「アンチ主流」と解釈されて、若者の感情表現の手段となり、国を超えて多くの人々に愛される要因になっている。
2024年のポップマートの売上高は130億4000万元(約2600億円)に達し、中国大陸部での売上高は79億7000万元(約1589億円)、海外での売上高は前年同期比375%と急増し、売上高の4割近くを占めた。タイ、日本、米国、フランスなどでは、新商品が発売される度に、店の外に徹夜の行列ができる光景が見られる。ポップマートの成功には多くの秘訣があるが、その本質はローカライズされたデザインで文化の壁を打ち破り、世界共通の美意識やフィーリングを持つ文化的消費財を生みだしたことだ。例えば、日本の1号店では限定版ラブブのダイバー(LABUBU DIVER)や招き猫がデザインされた商品が発売された。
ポップマートが国際市場で注目され、目覚ましい業績を収めたことは、現在の中国文化企業の「海外進出」の最も典型的な例の一つである。他にも、中国のゲーム開発会社・杭州遊科が手がけたアクションRPG・「黒神話:悟空」は2024年に世界的ヒットとなった。北京光線伝媒がプロデュースした映画「ナタ2」は2025年初頭に世界を席巻した。これら3社の文化製品に共通するのは、人々の感情に響き、心と心をつなげる力を持っているという点だ。
中国文化と世界が共鳴し合うのは双方向のコミュニケーションの結果であり、それには外国文化と外国人の中国へのアプローチも含まれている。1978年に中国が改革開放政策を実施して以来、米国のハリウッド映画、日本のアニメなどの西洋の流行文化が続々と流入し、中国人の生活の隅々にまで入り込んだ。過去数十年、中国はテクノロジー、ゲーム、文化輸出などの分野で目覚ましい成果を上げ、ソフトパワーは向上し続けており、中国文化の魅力を探るために、ますます多くの外国人が訪れている。
2024年以降、中国のビザ免除対象国は広がり続け、「チャイナ・トラベル」は爆発的な勢いをみせ、ますます多くの外国人が中国を訪れている。その中でも、米国の超人気インフルエンサーのスピード(Speed)さんは、今年3月24日から4月7日にかけて中国を訪れ、ライブ配信を通じて3800万人のフォロアーに、リアルな中国を紹介した。上海、北京、河南省の少林寺、成都、重慶、深センなどを巡り、ノーカット・ノンストップで5~6時間のライブ配信を実施した。その映像には、中国各地の美しい風景、グルメと市民の生活、さらに、トンネル走行中でも途切れない、高速鉄道車内の安定した5G通信、シャオミの電気自動車SU7 Ultra、深センの電動垂直離着陸機(eVTOL)などがリアルタイムに映し出されていた。米国のネットユーザーは「Speedは中国を訪れて、中国がどれほど不思議であるかを自分の目で見た。このライブ配信を見ると、中国は世界のどの国よりも効率的で先進的に見える」と驚いた。最新のメディア技術を通じて、海外の若者が中国の「美しさ」を間近で味わえるようになった。
中米両国のSNSによると、最近、米NBAのサンアントニオ・スパーズに所属する有名な選手・ウェンバンヤマが中国河南省の嵩山少林寺を訪れ、ここで10日間のプライベートな修行に没頭中とのことだ。彼は以前から少林寺文化に興味を持っていて、この修行を通じて今後の熾烈(しれつ)な試合により落ち着いた姿勢で臨めるようになることを願っているのかもしれない。彼の今回の旅は中米両国のファンから注目されており、その影響で今後、より多くの外国人が中国を訪れ、仏教の知恵と少林カンフーを体験するようになるに違いない。
現代の世界の文化交流では、ラブブのような創意あふれる輸出だけではなく、スピードさんのようなライブ配信を通じたリアルな中国の姿の紹介も欠かせない。メディアの新技術がますます進化し、文化交流が一方通行ではなくなった今、中国文化と世界が共鳴し合うビジョンは理想から現実にシフトしつつあるといえるだろう。(CMG日本語部論説員)
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