【観察眼】トランプ2.0時代 より理性的な米国に期待

CGTN

「中国は悪い。中国は邪悪だ。だが、日本は中国より邪悪でひどい!!」

1月14日、日本の放送局が吹き替え音声で伝えた米国での記者会見現場からのニュースに、多くの人が耳を疑った。声を張り上げて日本を非難していたのは、米鉄鋼大手クリーブランド・クリフス社のローレンコ・ゴンカルベス最高経営責任者(CEO)だ。ゴンカルベス氏は13日、日鉄によるUSスチール買収計画について語った際、「日鉄は中国に鉄鋼の過剰生産やダンピングの方法を教えた」と怒鳴りつけていた。

日鉄によるUSスチールの買収計画は、本来は安全保障上で盟友関係にある日米の間で行われる案件だったが、しかし、「アメリカ・ファースト」には勝てなかった。しかも、買収不成立で日鉄には5億6500万ドル(約890億円)の違約金がのしかかっていることにも驚かされる。

同じく1月13日、米国産業安全保障局(BIS)は人工知能(AI)向け半導体などの輸出管理を強化する暫定最終規則(IFR)を発表した。これにより、AI用チップ、モデルパラメーターなどの輸出管理がさらに厳格化され、ローングアーム管轄の範囲が一層拡大される。米国は米国のチップを取得する権限を国と地域によってランク分けし、関連技術の中国への流入を徹底的に阻止しようとしている。AI開発には不可欠である、データを高速で処理する装置「GPU」についても規制が設けられる。米国を本拠地とするサプライヤーについて、彼らのGPU海外展開数に上限を設け、総量の半分までとする規制も導入している。

だが、こうした発表に真っ先に反対の声を上げたのは、他ならぬ米国の企業界だった。

売り上げの半分を海外市場に頼るエヌビディア社は「技術革新と経済成長を妨げる」と批判する声明を出している。また、「『反中国』の措置という名目で覆い隠されているが、米国の安全保障を強化しない」「米国の競争力を弱体化させるだけだ」とも指摘している。米国半導体工業会(SIA)も「深く失望した」と批判する声明を発表した。

最も、米国による中国へのハイテク部品規制について、米ソフトウェア大手のオラクル社は、新たな規制案は米国のテクノロジー業界を甚だしく破壊するだろうとし、「AIとGPUグローバル市場の大半が、競争相手の中国に譲り渡される」とさえ懸念している。

米政府が、ぐいぐいと圧力を強め、規制することで中国のチップとAIの発展を抑え込めると確信しているのに対し、米国の産業界は、そうしたやり方はむしろ中国のチップとAIの発展を加速させるだけだと指摘したのである。

では実態はどうなっているのか。

米国の制裁が、間接的に中国の半導体産業の迅速な進歩を押し上げたというデータが確かに存在する。2024年1~11月期の中国からのチップ輸出は1兆元(約21兆2000億円)の大台を突破した。今回の規制案の発表を受け、中国側の業界関係者は、米国からの輸入に頼るという幻想を徹底的に諦め、半導体国産化に向けてのラッパが吹き鳴らされたとの決意を新たにしているという。

一方、米国関連の動きとしては、バーチャルの世界でも目が離せない動向がある。

中国のソーシャルプラットフォームTikTokに対する「売却または禁止」の期限が迫る中、この数日、「TikTok難民」を自称する米国のユーザーが中国のスマートフォンアプリ「小紅書」に押し寄せ、注目を集めている。15日までに、トピック「#TikTok難民#」の閲覧数は既に3億8000万回を超え、書き込みは806万件に上っている。Xには、30万回の「いいね」が付いたこのような投稿がある。

「米国政府の反対を顧みず、何千もの米国のユーザーが小紅書をダウンロードしている。彼らは、数百万の中国人ネットユーザーと楽しく交流し、そうした交流を通じて、中国に対する米国のネガティブキャンペーンが瞬く間に一掃されてしまった」

規制に乗り出した米当局者にとっては、これも思わぬ結果と言えよう。

米国では、あと3日ほどでトランプ2.0時代が正式に幕を開ける。ここ最近の混乱は、間もなく退任するバイデン氏が事態を複雑化するためにわざと起こした仕業に過ぎなかったのか。それとも今後しばらくの間は継続していく米国の長期的な政策なのか。そのどちらであるにせよ、不確定性が日増しに高まる現在の世界にとっては、憎悪、敵対、独りよがりよりも、人類が運命共同体であるという共通認識に基づいて、包容力のある心構えで、理性的な話し合いで互恵ウィンウィンの関係を目指すことこそが必要である。これが、世界がトランプ2.0に対する期待するものでもあると言えよう。(CMG日本語論説員)

01-17 20:56

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