米国のトランプ大統領は再び政権に就いた後、「アメリカ・ファースト」の原則に基づいて、ほぼすべての対外援助プログラムについて最大90日の「凍結命令」を発した。最近、フィリピンの政府当局は米国のフィリピンに対する3億3600万ドルの軍事援助が「凍結命令」から免除されたと発表した。
米国はこれまで慈善事業などしたことがないのに、今回はなぜフィリピンに「ゴーサイン」をだし、「特別待遇」を与えたのか。その裏には幾重もの思惑がある。
フィリピンは現在、アジア太平洋地域において米国から最も多くの援助を受けている国である。これらの援助は軍事、社会・経済発展、人道、教育などさまざまな分野に及んでいるが、中でも軍事援助が大きなウエートを占めている。アナリストは、これは米国が国境を越えてフィリピンへの浸透を図る上での重要な支えになっていると指摘している。簡単に言えば、米国は軍事援助という「ハードカレンシー」を使い、それによってホワイトハウスの「意図」を実現するために、あたかも「見えざる手」のようにフィリピンの軍・警察部門および政界の人間を操っているのだ。
さらに重要なことは、米国がいわゆる「海をもって中国を制する」戦略を実施するためにフィリピンに狙いを絞って軍事援助を与えることで、フィリピンを、中国をけん制するための「駒」にしようとしていることだ。中でも、フィリピンを使って第一列島線に中距離弾道ミサイル発射システム「タイフォン」を配備したのは典型的なケースである。「アメリカ・ファースト」を唱える人間は、これが地域の軍備競争を激化させ、地域に動揺をもたらすことになることを考えていない。
フィリピンにとって、米国の軍事援助は国家利益を犠牲にして一部の政治家の個人的利益を満足させるだけにすぎない。フィリピンの現政権は米国の「南海の安全保障への関与」を真に受け、南海で虎の威を借りたごとく中国を挑発し、ASEAN主導の地域安全保障の枠組みに深刻な打撃を与え、中国とASEANの関係発展の大勢に逆行している。
最近、中国とASEANは第31回中国・ASEAN高官協議と第23回「「南海各方面行動宣言」高官協議を相次いで開催した。双方は引き続き全面的な戦略パートナーシップの内容を充実させ、政治的相互信頼を強化し、さまざまな分野での協力を深めることで一致し、南海の平和安定を守ることの重要性で一致し、対話の強化を支持し、自制を保ち、相違点を適切に処理し、相互信頼を深め、海洋情勢の安定を守っていくことで一致した。
2025年はASEAN共同体の成立10周年であり、中国・ASEAN人文交流年でもある。平和発展を守ろうとする地域の国々の共通の願いを前にして、「オオカミを部屋に引き入れる」フィリピンの行為はまさしく自らを「孤立無援」にさせるものだ。米国のいわゆる援助は、結果的にフィリピンを「駒」から「捨て駒」に変えてしまうだろうが、南海の平和安定という大勢をかき乱すことはできない。(CRI論説員)
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