中国の多くの地方では最近になり、大通りの両側に赤い提灯や中国式のひも結びが飾られ、爆竹の音も時おり聞こえてくるようになった。いずれも春節(旧正月、2025年は1月29日)がもうすぐやってくることを示している。
春節は中国で最も重要な伝統祝日であり、かつては人々が年始に当たって祭祀を行い、五穀豊穣や人畜繁栄を祈願したが、次第に様々な祝賀行事に変容した。春節には前年に別れを告げて新年を迎える一家団欒(だんらん)や感謝の心を込めて幸福を祈るなどをする。このような素朴なあこがれは、世界中の異なる文化的背景を持つ人々の感情の共鳴をも引き起こすことができる。
春節は2024年12月4日に、ユネスコの無形文化遺産のリストに登録された。登録に成功したことで、世界の人々の春節文化を知りたいという気持ちがさらに強まった。中国の有名インフルエンサーである李子柒さんは、SNSで春節の文化と風習などを紹介し続けている。春節の「文化記号」には春聯(めでたい言葉を書いて扉の左右に貼る紙)や福の字、提灯、爆竹、年夜飯(年越し料理)、春晩(大型年越し番組)、年始回り、お年玉、獅子舞や龍舞などがある。外国人が中国に来て春節の年越しを体験するもよし、居住地の中国大使館などが開催する春節を祝うイベントに参加したり、中国内外のインフルエンサーによる新年の祝賀を紹介する動画を閲覧したりするもよし、ということになる。
中国政府の滞在期間240時間までのトランジットビザ免除政策や2024年以来のビザ免除対象国の拡大継続による海外からの中国旅行者の急増は、2025年の春節観光市場の大きな注目点だ。中国の大手オンライン旅行サービス会社のトリップドットコム・グループのまとめによると、2025年の春節期間中の海外から中国への旅行の発注は前年同期比203%増の状態だ。注文が多いのは韓国、マレーシア、日本、米国、オーストラリア、英国、ロシア、タイなどからという。外国人観光客の好む観光都市は上海、深セン、広州、北京、ハルビン、成都、杭州で、多くの外国人が中国での春節の体験をユーチューブなど海外のSNSに投稿しようと考えている。
西安に留学しているバングラデシュ人のムサさんは、中国で初めて春節を過ごした時のことを、「目新しい感じがした。大学が春聯と赤提灯を手配してくれたので、寮の部屋に飾った。大晦日にはほかの留学と一緒に、食卓に載せられないぐらいの料理を用意して祝い、それから人生初のお年玉をもらった。春節のにぎやかな雰囲気は遠く離れた異国の地にいる私に暖かさを感じさせてくれた」と振り返った。
世界各地の中国大使館や領事館などは春節前に様々な春節を祝うイベントを開催し、現地各界の代表を招待している。在米国中国大使館は現地時間1月11日夜、2025年中米青年新春交歓イベントを開催した。両国の青年は設えられた中国式の廟会(縁日)を巡り、糖画(飴細工)を作り、毛筆で字を書いたり、ギョーザを作って食べたりして、中国の春節の伝統行事を体験した。多くの米国人青年は、今回のイベントを通じて中国の春節文化の独自さを知った。そして、将来には中国のことをもっと知りたいと語った。
名古屋にある中国総領事館が主催する「名古屋春節祭」は、日本で最大規模の迎春式典の一つだ。今年は19回目で、1月11日から13日まで名古屋市内で開催され、延べ17万8000人が足を運んだ。会場には中国の文化や観光、美食を紹介する50のブースが設置された。会場には新年の干支である縁起物のヘビ、赤提灯、福の字などさまざまな春節関連の飾りつけが施され、日本人来場者は中国本場の羊肉の串焼きや麻辣燙(マーラータン、四川発祥のスープ料理)、蒸し餃子、刀削麺、糖葫芦(サンザシの実を何個か串に刺して飴がけしたもの)などの中国の特色ある食べ物を堪能した。名古屋市の広沢一郎市長は、「『名古屋春節祭』は異なる民族、文化、国家間の市民の相互理解のきっかけを提供し、多元的なふれあいの土壌を作った。より多くの市民が『名古屋春節祭』に来場して中国春節の濃厚な雰囲気を体験していただくことを期待している」と述べた。
このほか、在新潟中国総領事館は仙台市と新潟市で「春節祭2025」イベントを開催し、在札幌中国総領事館は岩手県で2025春節特別公演を開催し、大阪の中国観光代表処は香川県高松市で「歓楽春節in四国」のイベントを開催した。横浜、神戸、長崎の日本三大中華街は春節期間中に盛大な祝賀行事を開催する。また、春節の大晦日には7回目となる東京タワーを赤色にライトアップする点灯式が行われる。
現在までに、世界で20カ国近くが春節を正規の祝日に定めた。具体的にはアジアの韓国、タイ、ベトナム、マレーシアなどのほか、フランス、ドイツ、カナダ、米国、オーストラリア、ニュージーランドなど西洋の一部国家と都市が含まれる。パナマは2017年に春節を国民の休日にした。東アフリカの島国のモーリシャスは、国内華人の割合が2%未満だが、春節を全国の公式な休日にした。
国連のグテーレス事務総長は先日、2025年の春節を祝う動画メッセージを発表し、「ヘビは知恵、我慢強さ、生まれ変わることの象徴だ。希望と決意を持って新年の新たなスタートを迎え、すべての人のためにより良い未来を作ろう」と呼びかけた。春節は春の開始も意味し、万物更新への人々の期待が込められている。世界各国が春節を認めることは、より美しい明日の創造を期待することを意味している。(CMG日本語部論説員)
更多精彩内容请到 KANKAN 查看