【観察眼】海を越えて共に未来を

CGTN

13年前の今日(11月8日)、中国共産党第18回全国代表大会の報告書で「人類運命共同体」という言葉が初めて打ち出された時、この理念が長年連続して国連や上海協力機構、BRICSなどの多国間メカニズムの公式文書に盛り込まれ、世界でますます広く認められるようになることを予想した人は少ないだろう。「人類運命共同体」理念は過去と未来を結ぶ懸け橋のように、私たちに「この世界においては、誰も一人では生きていけず、手を携えてこそ美しい未来を迎えることができる」ことを物語っている。

「人類運命共同体」理念の核心は、私たちが互いに深くつながった世界に生きていると自覚することにある。日本語には「絆」という、目には見えないが確実に存在すると思われる、人と人のつながりを指す言葉があるが、「人類運命共同体」理念はまさにこの「絆」を世界的な尺度にまで広げたものである。私たちが共に直面している気候変動問題は、沖縄のサンゴを白化させ、モルディブ周辺の海面を上昇させている。また、国際金融市場の変動は、東京からパリまで、世界中の人々の家計に影響を及ぼしている。

福島の放射能汚染水の海洋放出が太平洋沿岸諸国の懸念を引き起こし、コロナ禍で世界の産業チェーンが途絶えて日本の自動車メーカーが生産停止を余儀なくされ、また、気候変動によって富士山の雪をかぶる高さが年々上昇しているといった課題が人類の知恵を試している。そんな中、中国が出した答えが人類運命共同体の構築である。

この理念は中華文明を育んだ土壌から生まれたものである。京都の枯山水庭園で個々の石や砂が一体となって全体の美を構成しているのと同じである。中国に古くから伝わってきた「協和万邦(各国が互いに調和し、国内、国外を問わずに和やかになること)」の知恵や「和而不同(他人と協調はするが、自分の考えを失わないこと)」の哲学、「天下為公(天下は特定の支配者のものではなく、すべての人のものである)」という理想はいずれも一つの真理を表している。それは、「人類文明は本来、多元的なものが共存する交響楽のようなものであり、命をかけて闘う場ではない」ということである。

人類運命共同体の構築は空想ではなく、数々の取り組みによって具現化されている。さまざまな取り組みの中で、「一帯一路」の共同建設はその最も代表的なものである。2023年8月の時点で、中国は152カ国、32の国際機関と「一帯一路」共同建設に向けた200件以上の協力文書に署名している。これには単なるインフラの連結だけでなく、標準の連携や人材育成も含まれる。アフリカでは、中国が建設に参画したエチオピアの首都アディスアベバとジブチの首都ジブチ市を結ぶ鉄道が現地に多くの雇用を生み出した。東南アジアでは、中国・ラオス鉄道の開通により、両国間の陸路での所要時間が大幅に短縮され、ラオスは周辺の国々と陸路でつながる国に変貌した。電気製品や機械・設備、繊維製品、農産物など5万種類以上の商品を満載した国際定期貨物列車「中欧班列」は、中国とアジア、欧州との経済貿易協力と地域経済一体化を推進している。

グローバルガバナンスの分野では、中国は四つのグローバルイニシアチブを打ち出し、発展、安全保障、文明、ガバナンスの四つの側面から、人類運命共同体構築のための理論的根拠と実践方向を提案した。グローバル発展イニシアチブは発展のための国際協力を推進し、国連の持続可能な開発のための2030アジェンダの実行を強調している。グローバル安全保障イニシアチブは国際紛争の対話による解決に焦点を当て、激動する時代に国際社会が手を携えてより多くの安定性と確実性を注入し、世界の恒久平和と発展を実現することを訴えている。グローバル文明イニシアチブは文明交流と相互学習を通じて誤解と心の隔たりを取り除き、人々の心のつながりを深める力を結集することを提唱している。グローバルガバナンス・イニシアチブはグローバルガバナンス体制とメカニズムの改革の方向性や原則、道筋を提案し、より公正かつ合理的なグローバルガバナンス体系の構築を呼びかけている。

13年にわたる実践を通じて、人類運命共同体の理念はますます人々の心に浸透してきた。それは国際関係における競争という本質を変えたわけではないが、競争の中に協力という「遺伝子」を注入した。また、国家間の利益の違いをなくしたわけではないが、それらの違いを「ウィンウィン」で解決する道を見いだした。

日本にとって、この理念は得難いチャンスだ。中国との協力を深めることで、日本はグローバル化の潮流が後退する中で自らの利益を最大化することができるだろう。もちろん、それには日本が従来の同盟関係による束縛にとらわれず、より開かれた姿勢でグローバルガバナンスに参画することが前提となる。(CMG日本語部論説員)

11-08 17:16

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