【観察眼】興収100億元の快挙 東方の神話が世界を席巻

CGTN

中国アニメ映画『哪吒之魔童閙海(ナタ2)』が13日夜、興行収入(先行上映、前売り、海外興収を含む)100億元(約2100兆円)を突破した。中国映画史上初の興収100億元台の作品となり、世界映画興収ランキングで17位、アニメ映画としてはトップ3に躍り出た。公開から16日間で100億元の興行収入を実現し、観客数2億人超、1日当たりの平均興行収入の伸びはハリウッド大作の3倍以上となっている。このように、『ナタ2』は驚異的なスピードで映画史を塗り替え、世界に中国の消費市場の巨大さを改めて認識させるとともに、中華文化の価値観をアピールした。悠久の歴史を持つ中華文明の蓄積が、革新的な表現を通じて、グローバルな「スーパーIP」へと変化した。

「ナタ2」の成功は偶然ではない。ナタが乗って飛ぶ「風火輪」のように、この映画の足元には「伝統文化の革新」という基礎があった。原作『封神演義』では、民を守るために自ら死を選んだ悲劇的英雄として知られるナタは、この映画では運命に逆らって自分の生きる道を選ぶ熱血少年に生まれ変わった。その生き様は、伝統を尊重しながらも自分らしさを追求する現代中国の若者の価値観と重なる。また、映画に登場する、三星堆の青銅仮面の化身である結界獣や、商代の竜紋鼎を再構成した天元陣、トン族の民謡に合わせて咲き開く七色の宝蓮、竜王三太子の敖丙(ごうへい)が使う武器に描かれた商代の竜紋といった要素には、「まるで中国文化の博物館だ」という賞賛が寄せられている。

本作のCG効果シーンは1900回以上で全体の8割を上回っている。一つの画面にキャラクターが2億体以上も登場するシーンもある。さらに、中国が自主開発した「ダイナミック水墨レンダリングエンジン」などの現代アニメーション技術は東洋の美学を再現した。5000年にわたる中華文化のビジュアル効果は、伝統的な手描きからスマート工業化までの飛躍を実現し、伝統文化が生き生きとデジタル化されている。幻想的な画面には、中国のアニメ制作会社140社余りの知恵と技術が凝縮されており、中国映画産業チェーンが共同で進化してきたことを物語っている。

今年の春節連休期間中(1月28日~2月4日)、中国映画の8日間の総興行収入は95億100万元(約1990億円)に達した。中国消費市場の巨大な潜在力と、家庭における文化関連の消費の需要の高さを反映している。世界経済が多くの不確定要素に直面する中でも、中国の消費者は良質なコンテンツや商品への出費を惜しまなかった。『ナタ2』の大ブレークは「良いコンテンツは確かな通貨である」という鉄則を裏づけた。本作の配給会社「光線伝媒」の株価は7日間で200%も高騰し、時価総額は550億ドル以上も増えた。資本市場の熱狂は、中国の文化消費市場に信任投票を入れた。

中国国内市場での躍進に加え、『ナタ2』は海外市場にも進出し、目覚ましい活躍を見せている。北米700余りの映画館で同時上映され、オーストラリアのプレミア上映は満席。そして、本作が伝える親子愛や種族を超えた友情など、純粋な人間性は文化の壁を打ち砕き、人類共通の感動と感情は国境を超えた「言葉」となり、海外の観客からの共鳴を得た。海外のSNSでは、ナタのヘアスタイルをまねてコスプレをするファンも続出し、米国メディアは「『ムーラン』のようなディズニー式のアレンジではなく、中国アニメ映画の独立宣言だ」と賞賛した。世界最大の映画データベースIMDbでの本作への評価は海外公開に先立ち8.1点と高得点で始まり、11日午前に8.3点に上昇した。

米ディズニー映画が「政治的な正しさ」で延命している間に、『ナタ2』は世界興行の上位に躍り出ている。100億元の興収の背後には、中国の巨大市場の目覚めと、文明大国の進化が垣間見られる。映画「ナタ」シリーズの餃子(ジャオズ)監督は作中のセリフを交えながら、「先入観を打ち破ってこそ、運命は変えることができる」と話した。伝統文化に根を下ろし、現代の表現様式と技術革新で文化の壁を乗り越え、伝統を生まれ変わらせる。西洋文明や欧米のルールに迎合せずとも、東方の神話は人々の心に届く。(CMG日本語部論説員)

02-14 17:11

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