米最高裁は現地時間17日、ショート動画ソーシャルメディアプラットフォームのTikTok(ティックトック)の米国での禁止を支持する裁定を発表した。TikTokは米東部時間18日深夜、米国でのサービスを停止した。しばらく前からTikTokが米政府に禁止される可能性がある情勢に直面した米国の多くのクリエイターは、TikTokに告別や敬意を表明するコンテンツを投稿し、自分が愛し、さらには生計を立ててきたこのプラットフォームに別れを告げていた。
TikTok禁止令は、米政府による「国家安全」の看板を掲げた政治ゲームだ。米政府はTikTokの親会社であるバイトダンスに対して、期限を定めてTikTokを非中国系企業に売却するよう求め、そうしなければTikTokを禁止すると宣告した。この措置は企業の合法的権益を侵害するだけでなく、米国のユーザーがソーシャルメディアプラットフォームを選択する自由をも奪うものだ。
米国には1億7000万人のTikTokユーザーがいた。禁止令の発効日が近づくにつれ、TikTokユーザーは操作関連などが中国語でしか表示されない中国のSNSアプリの小紅書(レッドノート)に殺到した。
小紅書には数日前から突然、米国からの「TikTok難民」が大量に出現し、関連するトピックを立て、中国語翻訳した自己紹介を添えた。このことで中米ネットユーザーの未曾有の大規模交流が始まった。
小紅書という新たな交流と共有の場を見つけたTikTok難民は、中国を理解する扉を意外にも押し開いた。彼らは小紅書の場で自分のペットや故郷について投稿したり、着こなしについてコメントしたり、動画を投稿したりして、中国のネットユーザーとホットな交流を展開するようになった。「英語を教えてください。私は数学を教えますよ」「今は料理を学び始めました」といったやりとりが出現した。中国のソーシャルプラットフォームでの交流をより円滑にして新しいコミュニティーによりよく溶け込むために、中国語の学習を試みるTikTok難民もいる。小紅書側はこの突然の状況に対応するために英語翻訳の人材を緊急募集し、翻訳サービスを提供するようになった。
この海を越えた交流は、米国のネットユーザーに、これまでの米国メディアの宣伝とは全く異なる中国と中国人を知る機会をもたらした。彼らは小紅書で、親切で友好的な中国人と、中国人の生活状況を見た。これらの真実で生き生きとしたイメージは、彼らの中国に対するいくつかのステレオタイプな思い込みと誤解を打ち破った。ネコの披露や「家計の照合」などをした結果、彼らは中米両国民の間の共通点や類似点が、違いや意見の相違よりもはるかに多いことに気づき始めた。ある米国のネットユーザーは、「中国に対するこれまでのステレオタイプのイメージが『粉砕』された」と書き込んだ。
米メディアも米国人ユーザーが小紅書に押し寄せる現象に注目した。ニューヨーク・ポスト紙は13日、小紅書が中米で人気を博した理由を紹介し、さらに分析した。記事によれば、小紅書の台頭は、ユーザーが地政学的な要素ではなく、魅力的なコンテンツやコミュニティーを優先していることを示している。
Tiktokが米国で愛されたのは、米国人ユーザーが米国メディアの宣伝する「情報の閉ざされた空間」の外の世界を見て、より多くの声を聞くことができただけでなく、より多くの一般の米国人に投稿を現金化する機会を与えたからだ。TikTokを禁止することは、彼らの選択の自由を奪うだけでなく、多くの人の収入源を断ち切ることになる。彼らがTikTok難民となりまったく見知らぬ小紅書に押し寄せたことは、米国当局の措置への反抗を表明していることでもある。
実は、中国の隣国である日本でも、TikTokのユーザーは年々増加している。日本人ユーザーは米国からTikTok難民が小紅書に押し寄せたことについて独自の見方を示した。ある日本のヤフーユーザーは、TikTokで中華食材を安く手に入れる方法を学んだとして感謝の意を表した。小紅書にアクセスしてみたと称するあるユーザーは、「45万ドル(約7000万円)の借金を抱えて一生をかけて返済せねばならない米国人大学生が、中国人の大学生は年間の学費が800ドル(約13万円)と聞いて涙していたことに強い印象を受けた」とコメントした。また、「米国の(TikTokに対する)やり方は、1980年代の東芝に対するやり方と同じだ。汚い」とコメントしたユーザーもいた。
幸いなことに、米西部時間19日午前9時半(北京時間20日午前1時半)ごろに、TikTokは米国での関連サービスを再開し始めた。TikTok難民は今後、TikTokに戻るかもしれないし、小紅書に残るかもしれない。ただし、彼らが今回の経験で、中国を理解する扉を押し開いたことは間違いない。中米両国のネットユーザーにとって今回の交流は深い意義を持つ。このような民間の自発的な交流は、両国国民の間の理解と信頼の増進に貢献するはずだ。(CGTN評論員)
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