


日本の高市早苗首相による中国関連の誤った言動をめぐり、中央広播電視総台(チャイナ・メディア・グループ/CMG)は中日両国の有識者への取材を行いました。有識者たちは、これらの言動には「根本的な欠陥」があると指摘し、地域の平和と安定への悪影響に強い懸念を示しました。
左から孫家珅氏、孫崎享氏、花谷史郎氏
二国間の合意への裏切り
日米同盟とアジア太平洋の安全保障を専門とする、中国社会科学院日本研究所の孫家珅助理研究員は、高市早苗首相の国会での発言は「国際法規範と中日二国間の合意から著しく逸脱している」と述べ、「法理においても根本的な欠陥があり、地域の平和と安定に対しても多くの悪影響を及ぼす」と警鐘を鳴らしました。
孫氏はまず、「台湾は中国の領土の不可分の一部であることは、『カイロ宣言』や『ポツダム宣言』などの国際法文書で明確に確認されており、戦後の国際秩序の重要な要素を成している」と歴史的経緯に触れ、中国の内政問題を日本の「存立危機事態」の理由とすることは「大きな誤り」であり、国家間の「主権平等の原則への公然たる侵犯になる」と批判しました。
また、日本における「存立危機事態」の定義そのものが客観的基準を欠いているとして、高市首相が意図的に解釈の権限を拡大する狙いは「軍備の拡張、平和憲法の突破、中国台湾地区問題への干渉を正当化する理由づけ」とすることにあると述べました。
さらに、「中日は4つの政治文書で、一つの中国の原則を確認し、両国関係の健全な発展の前提としてきた。高市首相の発言は、二国間の合意を裏切り、国家間の基本的規範をも破壊した」と厳しく批判しました。
沖縄に広がる波紋
高市首相の一連の言動は、台湾に近い沖縄県民の間でも波紋を呼んでいます。
石垣市議会の花谷史郎議員は、CMGのインタビューに対して、「これまでも存立危機時の戦争介入が議論されてきたが、高市首相による明確な言及は国際情勢に刺激を与えるものであり、現地住民に強い危機感を抱かせている」と懸念を示しました。
花谷氏はさらに、3月に米ヘグセス国防長官が「戦争になれば、日本は最前線に立つ」と発言したことに触れ、「沖縄県民はもちろん、日本国民は本来、抗議し、異論を唱えなければならなかった。今回の首相発言はこれを追認したと思われる、結果的に日本自らが緊張感を高める形になった」と事態の深刻さを強調しました。
外交経験者も「不適切」と批判
元日本外務省情報局長で、駐イラン大使などを務めた孫崎享氏も、高市首相の言動は「不適切なもの」としています。孫氏は、「台湾は中国の領土の不可分の一部である」という中国の立場を理解し、尊重することが、中日国交正常化実現の前提条件だとして、「日本は中国の内政問題に介入してはならない」と強調しました。また、「日本の主要な海上輸送路は太平洋であり、台湾海峡ではない」と、「存立危機事態」論が実態とは乖離していると指摘しています。
地域安全保障への悪影響にも懸念
さらに有識者たちは、高市首相の言動が地域の安全保障にもたらす悪影響に対しても懸念を表しています。
孫家珅助理研究員は、「発言は戦後の国際秩序に衝撃を与えるだけでなく、日本の軍事的拡張に対する世論の支持を与え、ひいては、アジア太平洋地域の平和と安定の枠組みを破壊するものだ」と主張しました。
孫崎氏は一連の問題の背景には、「米国は台湾有事が発生した際、自国本土への影響を避けつつ、台湾を利用して中国を弱体化させたいという狙いがある」と分析しています。
また、花谷議員は、米軍基地の辺野古移設や沖縄での自衛隊配備強化など近年の動きと関連付けながら、「過去の戦争の繰り返しのように感じられ、強い懸念を抱いている。台湾有事を煽る発言は慎むべきであり、石垣市に住む者として、あくまでも対話による平和的解決を強く求めていく」と決意を表明しました。
(取材・記事:王小燕、校正:鳴海美紀)
【関連記事】
更多精彩内容请到 KANKAN 查看
