



最近、日本のあるテレビ番組が、中国市場でフォアグラの普及が進み、価格も手頃になっている現象を大々的に取り上げ、フォアグラの価格下落を、中国における消費のダウングレードや内需の縮小、景気低迷の表れだと論じた。こうした先入観に満ちた見方は、現実と大きくかけ離れている。
フォアグラはもともと、フランス料理を代表する高級食材として知られている。フランスの飲食店では、1切れ約2800~7400円で提供され、長らく一部の人しか味わうことのできない高価な食材だった。ところが現在、中国では多くの火鍋店や大衆食堂がフォアグラ料理を提供するようになっている。品質に優れているにもかかわらず、価格は約700~1700円と、フランス現地の4分の1にも満たない。
中国は、この価格面での画期的な変化をどのように実現したのだろうか。
同番組の論理によれば、高級食材が一般的な飲食店に広まったことは、市場の発展がもたらした健全な成果ではないという。現在の中国経済は低迷し、消費のダウングレードが広がっており、人々には高価な食材を購入する余裕がない。そのため、事業者は値下げによる販売促進を余儀なくされ、薄利多売によって経営を維持している、というのだ。
簡単に言えば、この番組が描く構図では、かつての高級食材が大衆向けの料理になったのは、市場の供給が豊かになったことで国民生活にもたらされた恩恵ではなく、需要の縮小に追い込まれた事業者が、やむなく値下げした結果だとされている。
しかし、事実は正反対である。
フォアグラが高級食材という特別なイメージを脱ぎ捨て、日常的な消費の場に広がったのは、中国のフォアグラ産業が長年にわたり地道に取り組んできた成果である。
中国安徽省霍邱県は「フォアグラの郷」と呼ばれている。年間生産量は5000トンを超え、中国全体の生産量の3分の1を占めており、繁殖、飼育から高度加工までを一体化した産業チェーンが構築されている。
かつて、中国のフォアグラは海外からの輸入に大きく依存していた。これに西洋料理ブランドのプレミアムや国際コールドチェーン輸送のコストが上乗せされ、価格は長期にわたり高止まりしていた。
しかし、数十年にわたって国内産業の育成に力を注いだ結果、大規模飼育によって生産・加工コストが継続的に引き下げられた。中国の飲食業界も、フォアグラ入り火鍋やフォアグラチャーハンといった大衆向けメニューを積極的に開発し、新たな大衆市場の開拓を進めてきた。
これによって、一般消費者も、かつての高級食材を手頃な価格で味わえるようになった。これこそ、産業の高度化と消費の多様化が進んでいることを示す典型的な例である。
仮に、高級食材の価格が下がれば、それは内需縮小のシグナルである、という同番組の論理を受け入れるなら、かつては敷居の高かった数多くの商品が、大量生産によって値下がりし、広く一般に販売されるようになったことも、すべて消費低迷の結果だということになる。果たして、本当にそうなのだろうか。
技術革新や産業チェーンの整備による商品の値下がりは、供給能力の向上に伴う普遍的な現象であり、単純に需要不足と同一視することはできない。
事業者が主体的に生産能力を拡大し、価格を引き下げるのは、商品が売れ残り、やむなく値下げしているからではない。より幅広い大衆市場を開拓するためである。
中国では、高級飲食と大衆向け飲食が同時に発展し、多層的な消費需要が併存している。フォアグラという一種類の食材の価格動向だけを根拠に、中国経済全体について結論を下すことは、明らかに現実とかけ離れた主観的な憶測でしかない。
さらにこじつけと言わざるを得ないのが、同番組が中国の6月の消費者物価指数(CPI)まで持ち出し、中国の物価上昇率が低い原因は、消費者の節約志向が続いているためだと説明している点である。
物価が穏やかで安定した水準を維持していることは、本来、農産物の供給が十分であり、輸入インフレの圧力が緩和され、経済が安定的に回復していることを示す好ましいシグナルである。インフレが抑制され、経済が安定している健全な状態を意味している。
ところが同番組は、こうした客観的な現象を、人々が支出を引き締め、自ら消費を減らし、内需が低迷し続けていることの証拠であるかのように意図的に描いている。
一方、日本国内の暮らしの現状に目を向けると、コアCPIは57カ月連続で前年同月を上回っている。今年、値上げが決定している飲食料品はすでに1万5000品目近くに上り、年間では2万品目を超える見通しである。コメや生鮮食品、日用品の価格も大幅に上昇している。
その一方で、人々の実質賃金は4年連続で減少し、所得の伸びは物価上昇のスピードに追いついていない。一般家庭は日常の買い物を減らさざるを得ず、小分けにされた野菜や、半額に値下げされた生鮮食品が生活上の切実な需要となっている。
同番組の論理に従えば、日本のように物価が上がり続け、人々の負担が極めて重くなって初めて、経済は繁栄していると評価できることになる。果たして、そのような理解でよいのだろうか。
結局のところ、一部の海外メディアのダブルスタンダードな見方に立てば、中国の発展と進歩は何もかも間違いということになる。産業の高度化によって高級食材が庶民の食卓に広まり、国民生活に恩恵をもたらすことも誤り、中国が産業の自立を実現し、輸入依存から脱却することさえも誤りとされる。だが実際には、フォアグラが庶民の食卓に広まったことは、中国の特色ある農業産業化が飛躍的な発展や農村振興により農民の所得向上の成果を示す物であり、一般の人々が食の消費において、より多くの選択肢を持てるようになったことを示す象徴でもある。
中国の産業の実情を顧みず、あらかじめ決められた立場から中国市場の変化を捉え、供給側の産業発展を需要側の消費ダウングレードだと強引かつ悪意をもって解釈すれば、導き出される結論が、実際の中国経済の姿とかけ離れたものになるのは当然である。
一国の経済状況を評価するには、まず固定観念や偏見を捨て、産業、物価、消費など多角的な側面を総合的かつ客観的に見ることが必要だ。そうして初めて、実態を正しく理解し、適切な向き合い方を見いだすことができるのである。(CMG日本語部論説員)
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