


日本政府は先週、最新版の防衛白書を公表した。この白書について、中国社会科学院日本研究所の盧昊研究員は9日、CGTN日本語の取材に対し、「偽りの言説に満ちており、日本の右派勢力が『再軍事化』に向けて社会全体を動員するものだ」との見方を示し、国際社会に警戒を呼びかけた。
盧研究員は、白書が日本を取り巻く安全保障環境の危機を意図的に誇張していることや、「専守防衛」という原則を逸脱し、自衛隊をより攻撃的な軍事力へと転換しようとしていること、軍需産業の拡大を経済成長と結び付けて国民の支持を得ようとしていること、さらに中国の内政である台湾問題への介入姿勢を示していることなどを挙げ、「特に警戒すべきだ」と指摘した。
中国社会科学院日本研究所・盧昊研究員
■危機の煽動は軍事拡張の正当化が目的
白書は、「国際社会は戦後最大の試練の時を迎え、新たな危機の時代に突入した」としたうえで、中国について「日本と国際社会にとっての深刻な懸念事項であるとともに、これまでにない最大の戦略的挑戦である」とする近年の表現を踏襲している。
盧研究員は「全体を通して見ると、今回の白書には時代遅れの冷戦的思考が色濃く反映されている。周辺地域の安全保障情勢を大げさに緊迫したものと見せかけ、外からの脅威を意図的に強調している」と指摘した。
そのうえで、「『安全保障上の危機』を意図的に誇張して国内の政治的動員や世論の集約を図るとともに、地政学的な対立を煽って仮想敵を作り上げ、軍事拡張に『正当性』をでっち上げることは、日本の右翼勢力が常套的に用いる手法だ」との見方を示した。
さらに、「日米が中国周辺で頻繁に軍事演習を実施し、攻撃的な戦力を配備して地域の軍備競争を煽っていることには一切触れていない。日本自身の行動が地域の不安定化を招いていることには目をつぶり、他国の正当な防衛活動だけを『脅威』と断じるのは不当だ」と批判した。
■専守防衛から「能動的抑止」への転換
2026年6月7日、東富士演習場での陸上自衛隊の実弾訓練(CFP)
白書は、「防衛分野への投資は経済成長にもつながる」と記している。盧研究員はこれについて、武器輸出規制の緩和や国を跨いだ共同開発の推進を狙ったものとの見方を示した。
また、新たに設けられた「新しい戦い方」の章では、「防衛生産・技術基盤」の大幅な強化を打ち出すとともに、宇宙、サイバー、電磁波、認知といった「新たな戦略的フロンティア」へと作戦領域を拡大する方針を示している。さらに、異なる軍種による統合作戦能力や非伝統的・非対称的な作戦能力に加え、遠距離攻撃能力や高い破壊力を持つ攻撃能力の強化にも言及している。
盧研究員は、これらの動向について、「日本が戦うためのシステムを整備し、自衛隊の総合作戦能力や持続的な作戦遂行能力、さらには戦争を仕掛ける能力の強化を目指すものであり、将来的な海外での軍事行動の展開に布石となるものだ」と強い警戒感を示した。
■「存立危機事態」発言は失言ではない
白書は、中国が台湾周辺での軍事活動を活発化させていると指摘し、台湾問題をめぐる記述について、盧研究員は「中国の内政である台湾問題に介入しようとする危険な傾向が表れている」と指摘した。
「白書は台湾海峡の『紛争リスク』を意図的に誇張し、『台湾有事はすなわち日本有事』という荒唐無稽な論理に固執している。これは台湾を引き続き地政学的な戦略拠点として利用し、対中対立の駒として扱い、台湾問題の国際化・地域化を企むものだ。また、日米同盟の強化に加え、日米比、日米豪などの『第一列島線』をめぐる多国間軍事連携を強化し、台湾海峡と南海を『一つの戦域(ワンシアター)』として統合する動きを推進しようとしている」と分析した。
昨年11月、日本の高市早苗首相は国会で、台湾有事は日本の「存立危機事態」に該当すると答弁した。これについて盧研究員は、「白書の公表により、高市氏の発言は決して『失言』などではなく、日本の為政者層における共通認識であり、明確な戦略的判断であることが浮き彫りになった」と述べた。
2025年11月7日、議院予算委員会で答弁する高市首相(CFP)
そのうえで、「近代において日本は50年にわたり台湾を植民地支配し、極めて重い『歴史的原罪』を背負っているにもかかわらず、それを反省するどころか、目下の台湾海峡情勢で極めて煽動的かつ破壊的な役割を演じている。現在の台湾海峡情勢の緊迫化の根源は、『台湾独立』勢力が現状を打破し、国家の分裂を企てようとしていることにある。日本に代表される域外勢力による容認や支援は、『台湾独立』勢力の勢いを増す重要な要因となっている」と指摘した。
■カモフラージュされた再軍事化の真意に国際社会が警戒を
2026年8月4日、最新版防衛白書を公表する小泉進次郎防衛相
2026年版の白書は、「未来につながる安全保障」をテーマに、アニメ風の表紙や小中学生・高校生向けの簡易版資料「まるわかり!日本の防衛」を制作したほか、AIアバターを起用した解説動画も公開している。さらに、日本語だけでなく、英語版や中国語版も作成している。
こうしたPR戦略について、盧研究員は「過激な再軍備化政策に正当性を与えようとする『政治的なカモフラージュ』だ」と評価した。また、「ソフトな外見の下に隠されているのは、過激な軍備拡張という内実だ」と警告したうえで、特に子ども向けのPRについては、「安全保障上の脅威を刷り込むことで、再軍事化の世論基盤を作るための極めて危険な誘導行為だ」と懸念を示した。
最後に盧研究員は、「危機を演出して世論を誘導し、美辞麗句を並べ、同盟国や同志国との結束を強めようとする今年の白書には、戦後の平和体制を破壊し、対外軍事介入を拡大しようとする意図が隠されている。こうした軍備拡張の動きを正当化しようとする日本の企ては、地域の安全保障にもネガティブな影響を与えている。アジア各国のみならず、国際社会が高度な警戒を保つ必要がある」と訴えた。(取材・記事:Yan、校正:MI)
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