【観察眼】中国経済は日本のバブルの二の舞を踏むのか 「考えすぎ」は禁物

KANKAN

北京で開催中の中国全国人民代表大会と中国人民政治協商会議(全人代・政協)は年に1度の政治の大イベントであり、メディアからの注目も集まる。日本のポータルサイトなどでは、関連記事がラインキング上位に入っている。しかし詳細に見ると、指導者の表情を紹介したり、会議の日程を例年と比較するなど、とりとめのない内容のものが多く、実質的な中身は乏しい。とはいえ、これらの報道はしばしば、「中国経済はだめになった」「中国は日本のバブル経済の二の舞を演じる」などといった結論に誘導する。読者の中には心配する人もいれば、期待に心を躍らせる人もいる。「これからがお楽しみだ」と思っている人に対しては、言わねばならないことがある。日本のバブル経済の歴史は中国で必ず繰り返されるのか。目を覚まさねばならない。あなたは考えすぎなのだ。

中国経済崩壊論は目新しいものではない。早くも20世紀末から今世紀初頭にかけて中国系米国人の著作家であるゴードン・チャン(章家敦)氏は「やがて中国の崩壊が始まる」という書物を著し、中国は2008年までに崩壊すると宣言した。チャン氏はその「予言」がはずれると、中国崩壊のスケジュールを「再設定」した。米国の外交政策研究季刊誌「フォーリン・ポリシー」は2012年、チャン氏の「中国崩壊」の予言を「2012年人類滅亡説」などとともに「最もひどかった予測」のベストテンの一つに選出した。日本人経済評論家の朝香豊氏は2021年に出版した書物で、中国経済のバブルはすぐに崩壊すると主張した。しかし、3年が過ぎた今、崩壊したのはご本人の予言だけであるようだ。

いわゆる中国経済崩壊論はなぜ、繰り返し崩壊しているのか。原因はさまざまだが、いくつかの明らかな事実がある。まず中国は、これまでの西側の先進資本主義国のいずれの国とも制度も国情も違う。そのため、伝統的な西側の経済学の理論で中国の巨大な発展を説明することは難しい。中国経済の数十年来にわたる発展という事実で証明されているように、短期的で微視的なデータだけにたより、西側の典型的モデルを用いて中国経済を分析判断したのでは、正確な予測は困難だ。

日本とは異なり、中国は依然として発展途上国だ。一人当たりのGDPでも都市化率でもまだ大きな発展の余地がある。同時に、中国では産業体系が完備されており、国連の産業分類におけるすべての工業部門を持つ唯一の国だ。海外の産業への依存度は低く、産業体系に強い内在的動力がある。中国の人口は14億に達している。大人口は豊富な労働力の源であり、消費にも大きな可能性をもたらす。中国では現在、「人口ボーナス」が「人材ボーナス」へと進化しつつある。すなわち、「人口の量による恩恵」から、「人材の質による恩恵」を受ける状態へと構造変化が進行している。中国の人材資源や研究開発者の数はいずれも世界トップであり、高級技能を持つ人材は6000万人を超える。中国の科学技術革新能力は絶えず増強されている。ハイテク企業数は約40万社に増加し、ユニコーン企業数は世界第2位になった。これらも中国の発展の独特な強みだ。

中国には「前車之鑑後事之師(前人の失敗を後人の戒めとする)」という古い格言がある。日本のバブル経済の崩壊から学ぶことは多い。当時の日本ではレバレッジの引き下げが受動的かつ急速に進行したが、中国では数年前から主体的にレバレッジの引き下げ措置が取られており、不動産やそれに密接に関連する各種のリスクを防止・解消し、経済システム全体へのリスク波及を防ぐという防衛ラインが維持されている。海外の冷静なアナリストは、中国では大手不動産会社の破たん事件が発生したが、現在の銀行システムは健全で、不動産市場は低迷したものの、かつての日本のような急激なバブル崩壊の状況ではないと指摘している。

全人代・政協会議はまだ開催中で、代表や委員がまさに、新年度の中国の大きな政策方針を検討している。中国がどのように発展するかは、とりとめのない偏った報道に頼るより、多方面にわたって事実を理解したほうがよい。中国は日本の二の舞を演じるかどうかを判断するには、事実に基づく言説だけが信じるに値する。(CMG日本語部論説員)

03-07 14:50

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